長らく物流・運送業界に身を置いていればクレームを受けない方が珍しいかもしれない。
そんなクレームも多種多様でお客様には何一つ過失がなく、申し訳なさでいっぱいになるようなクレームを頂戴することもあれば、クレームというよりもほとんど言いがかりに近いものもある。
私が受けたクレームには印象に残っていることがいくつかありますが、唖然・・・というよりも、どうすれば良いのか?困ることもある。
相手が何を求めているのか?わからない、という疑問が残ったという点では、これから紹介するクレームはとても大きなインパクトがありました。
荷物が臭いというクレーム
ドライバーが配送した荷物に対して会社の営業所にクレームがありました。
それは「荷物が臭い」というものだ。
端的に言えば、その荷物の匂いではなくドライバーが吸っていたであろうタバコの臭いが染みついていて臭いというものだった。
ダンボールがとても臭いので不愉快だ!というクレームの内容だった。
確かにタバコの臭いは非喫煙者にとって辛いものであることはよく分かるだけに、この手のクレームも仕方ないものなのかな?とも思った。
しかし、ドライバーからよくよく話を聞いていると臭かったのはダンボールだけで、荷物そのものには影響がないという内容だった。
ドライバーからもタバコの臭いがして不愉快だったと・・・。
そこで調べてみるとドライバーは非喫煙者。
当然ですがタバコを吸いながら応対した訳ではないだけに、もしかしたら休憩中に喫煙者と一緒にいたので臭いが移ってしまったかもしれませんが、非喫煙者が「タバコ臭い」とクレームを受けている状況に対し、どのように応えるべきなのか迷いました。
クレームの先のお客様が求めているものがわからない
クレームは得てしてクレームよりも「その先の何か」が目的の場合が多い。
例えば時間指定なのに指定の時間外に配達された、というクレームはこちらが悪いので素直に謝るしかない。
しかし、お客様はわざわざクレームの電話をしてくるので
お客様A、「今後は気を付けろよ!」という注意だけではなく
他にも何かしらの要件がある可能性がとても高い。
この点に気付かなければ、その場では収まっても次の機会に再びクレームを受けてしまう可能性が高いだろう。
いわば火種は完全に消さなければ意味がない。
くすぶっている状態では次の機会に再び着火してしまう可能性があるだけに、電話での対応だけではなくドライバーにも直接謝罪に伺わせる、と提案すると、「そこまでしなくても良い」というお客様もいれば「待っている」というお客様もいる。
「そこまでしなくても良い」という方の場合は、その後も電話越しに謝る姿勢を見せ続けることが大切ですし、ドライバーが伺う場合にもドライバーは謝罪の姿勢をしっかりと見せるよう伝える。
こちらがしっかりと謝罪することによってお客様が満足してもらえるのであれば、それで良いだろう。
ドライバーが謝りに来いとは言うものの・・・
タバコが臭いとクレームを受けたドライバーにお客様はそのドライバーに謝りに来いと言っていた。
しかし、タバコが臭いからとクレームを受けているのに非喫煙者が謝りに行っても結局本当の目的はタバコではないはず。
お客様はタバコの臭い云々よりもドライバーの他の部分で目に余ることがあったのではないか?と考えた。
ドライバーだけで足を運んで謝罪してもネチネチと怒られるだけでドライバーに大きな負担を与えてしまうだけなのは明白だ。
そこで、営業所の所長も一緒に足を運び、二人で謝罪することとなった。
一人で足を運んで「謝罪に来たのに臭かった」と言われたらどうにもならないと考えたからだ。
クレームを受けたドライバーは非喫煙者の所長と共に足を運び謝罪したが、お客様はとても機嫌が良く、「気にしないで下さい」とニコやかに対応してくれたとのこと。
その後、クレームを受けたドライバーは担当エリアを変えた。
罰則的な意味合いではなく、ドライバー一人だけで伺えばまた同じクレームを受けかねないと考えたからです。
これは私の推測ですが、おそらく宅配時の応対・態度にカチンときたのでしょう。
そこで臭いという、後から立証することが困難な手法でクレームを入れてきたのではないか?と思う。
クレーム対応こそ間違いが許されない
運送・物流会社の本音としてはクレームに時間を割くのは勿体ないことだ。
しかし、一方でクレーム対応を間違えると今の時代は会社のブランド・信頼性に傷がつくのも事実だ。
どのようなクレームであれ、明らかに難癖レベルのクレームであったとしても対応を間違えたことで会社の信頼という、なかなか簡単にはリカバリーできない会社の「財産」に傷がつく可能性がある。
いわばクレームは会社の信頼を人質に取られているようなもので、さらにはクレームの際にどのような応対をしたのかがSNSで簡単に情報発信できるご時世だ。
どのようなクレームにも「そこまでやるのか」と思われるような対応が求められているのも物流・運送業界の現実だと思う。
正に先日タバコ臭い荷物が届いてクレームいれました。中の商品に問題はないとはいったものの、商品を包むビニールにはしっかり匂いがうつってました。今後品物にうつらないともかぎりませんし、こちらから先方に荷物を送る際にタバコの匂いが付いてしまう可能性も考えてクレームいれました。喫煙家の人は全く気にならないと思いますが、嫌煙家にとっては外箱とはいえ一瞬でも家の中にタバコの匂いがつくのはとても嫌なものです。
正にS川さんだったけれど、中の方にはこういう風に捉われてるかもしれないと思うと少し悲しくなりました…
全然そんな態度が嫌だったからとか回りくどいことじゃないのになあ…
ayuさん
コメント本当にありがとうございます。
佐川急便ではドライバー(委託も含めて)の業務をしている時の喫煙に関しては、私が在籍していた時(7年前)も厳しく指導がありました。
私も委託ドライバーの喫煙でのクレーム(荷物がたばこのにおいで臭い)で謝罪をした経験があります。
私も同感です。
物流業界も20年前とは違うわけですからドライバー個々が自覚してサービスの多様化に適応していかなければなりません。
未だに車内でたばこを吸っているドライバーは、ほんの一部だとは思いますが、そのようなドライバーがいるせいで佐川急便のイメージが悪くなっているということを肝に銘じて仕事をしなければなりません。
会社にクレームを入れる=クレーマーみたいな言い方をする人もいますが、ayuさんの場合、クレーマーという表現に該当しません。
他のお客様の為にも良い行動だったと思いますよ。ありがとうございます。
率直なご意見、本当にありがとうございます!
私が知っている限りの情報をお伝えして、お役に立てればと思っております。
これからも暇な時で構わないので覗いて下さいね!
いえ、本音は「タバコ臭のついた荷は返品したい」でしょう。しか私もayuさんの意見に同意です。
>この手のクレームも仕方ないものなのかな?とも思った。
仕方ないどころか受け手にとっては最悪な事態です。
>相手が何を求めているのか?わからない
え?「今後、荷物にヤニ臭がつかないように配達して欲しい」これだけですが。
その時はたまたま外装(ダンボール)までにとどまったかもしれませんが、簡易包装だったら
荷物にうつっています。
>ドライバーからもタバコの臭いがして不愉快だったと・・・。
>そこで調べてみるとドライバーは非喫煙者。
ドライバーが喫煙、禁煙にかかわらず、自身からヤニ臭がするくらいの状況に居た
ということが=荷にヤニ臭がうつった、という事です。
非喫煙者がそこまで臭くなる状況というのは限られています。喫煙ルームかパチンコ屋に長居、
喫煙の輪の中に自分も居た、などでなければたとえば食事中に隣の客が食後の一服をした程度では
そこまで臭いがうつりません。そういう状況に身を置くのは配達中はさけて欲しい。
>クレームは得てしてクレームよりも「その先の何か」が目的の場合が多い。
「今後、荷にヤニ臭がうつるような配達はやめて欲しい。」これだけでしょう。
>タバコが臭いからとクレームを受けているのに非喫煙者が謝りに行っても結局本当の目的は
>タバコではないはず。
いえ、タバコです。非喫煙者だろうがなんでも、この配達員の身体のタバコ臭が荷にうつった
のですから。「今後は無いようにして欲しい」が目的です。しそこまでは言わないで
くれただけです。
>お客様はタバコの臭い云々よりもドライバーの他の部分で目に余ることがあったのではないか?と考えた。
非喫煙者の利用者にアンケートでもとってください。
・態度は良くないが、タバコ臭のついてない荷を持ってくる
・態度は非常に良いが、荷にはタバコ臭がついてくる
非喫煙者は前者の配達員を選ぶと思いますよ。極論ですが。そこまで嫌なものなのです。
そもそもダンボールにうつっている臭いが中まで浸透していない、とは限りません。
この文から見えるのは
「中の荷にまで臭いがうつっていないのに、たかが外箱が臭くて配達員も臭かったくらいでおおげさな。
他にカチンときたから難癖つけてクレームを入れたんだ」ですね。
タバコ臭がどんなに嫌なものかまるでわかっていない。
そもそも「カチン」とこられないような最低限の接客を教えれば良いのではないですか?
私は今までどの会社のどの配達員さんにも「カチン」ときたことはありません。
皆さんには頭の下がる思いでお礼を述べています。
ですが、どんなに素晴しい態度で自身もタバコを吸わない方でも、その人の身体からタバコ臭がして
その臭いが荷にうつっていたら、二度とそこの配送会社は使いたくないレベルです。
山内もとさん
コメント、大変参考になるご意見本当に有難うございます。
当ブログの管理人をしていますGokamontです。
記事の内容に関するご意見はご尤もなご意見だと思います。
当記事は、ヤマト運輸の事務職でクレーム担当をしていた知り合いに執筆依頼をしました。
私も含めてクレーム処理をしていた人間の考え方は少し偏った感情的な考え方になっていると思います。
ブログという性質上、TwitterやFacebookなどのSNSの投稿も含めて公序良俗に反しない内容であれば自分の考え主張をブログに投稿して見てもらうことは何も問題ないことと考えております。(記事を見る見ないはブログを見に来てくれたお客様に委ねられると思います)
一つの事柄に様々な意見があることは当然のことだと思いますし正解を見つけ出すことも難しいことだと思います。
貴重なご意見コメント本当に有難うございます。^^