今回の話は、運送会社(佐川急便、ヤマト運輸、日本郵政、地元の運送会社など)で、ご自身が管理職になった(現在、管理職で部下への対応に困っている)読者さんに参考にしてほしい話です。
職場で昇進し、役職が付くと何人か部下もできます。
部下にも様々な性格の人がいます。
黙っていてもきちんと業務をこなす、言えばやる、言ってもなかなかやらない、人それぞれです。
上司としては、時と場合に応じて、部下を褒めたり叱ったりしなければならない場面があります。
部下を正しく叱る方法なんてあるのでしょうか?
私の経験上、自分が部下として過ちを犯した時に上司に叱られて上司の事を「こいつ許せね~」と思わなければ、その上司は良い叱り方をしたのだと思います。
その時は、感情的になって心の中で「ふざけんなよ」「俺は正しいよ」なんて思っているかもしれませんが、
時が経てば「ま~俺が悪かったよな」と思えるようになっているでしょう。
上司は自分が叱られて嫌なやり方を部下にしない、ということは鉄則です。
勘違いしている上司に多いですが、「そんなこと自分(上司)が言われたら怒らないか?」という言葉を部下に浴びせている上司は、職場で上司としての器はありません。
自分(上司)が部下を叱っているのを同じ職場で働いている全ての人が見ている、ということを忘れてはいけません。
上司がダメな行動をすれば悪いことは脚色されて酷い内容になって「部下を叱っていたけどあいつ(上司)殴っていたよ」なんて、有りもしないことが噂される可能性があります。
部下を叱っても自分(上司)の味方になってくれる職場の同僚が必要です。
同僚が叱られた部下を呼び出して「まー、○○さん(上司)もキツイこと言ってたけどお前が悪いんだぞ」
なんて、言ってくれていたら上司は職場で存在感を発揮出来ていると思います。
ここからは職場で自分が上司で部下を叱らなければならない時に気を付けなければならないことを10個まとめました。
一般的な話なのでかる~い気持ちで読んで下さいね。
部下の育て方 10か条
部下を叱るにも工夫が必要です。
怒りに任せて怒鳴りまくっていたり、いつまでもねちねちと叱っても効果はありません。
叱る目的を考え、どうしたら部下の悪い行いを改善出来るのか?を考えれば自ずと答えが出ます。
1 感情的な叱り方をしない
「怒る」と「叱る」は根本的に異なります。
「怒る」は感情的に、「叱る」は愛情を持って注意することです。
感情的にならない為には、叱る前にその趣旨、理由を自分なりにまとめたうえで叱りましょう。
感情的な叱り方をすれば、自分が意図することが通じないばかりでなく、相手の反発を買う結果になり逆効果になることがあります。
2 叱る前に部下の言い分も聞いてあげよう
叱る理由が部下のミスや不作為などにあるとしても、頭ごなしに叱ることは止めましょう。
部下にもそれなりの言い分があるかも知れません。
まずは冷静になって部下の話を聴きましょう。
3 人前で叱らない
同僚や他の上司が居る場で叱るのはNGです。
人前で叱られると、叱られた方は落ち込みが激しくなるからです。
他人の目や耳も気になり、殆ど上の空状態になってしまいます。
4 くどくど長々と叱らない
くどくど長々と叱っても、伝えたい内容が相手に届かず、叱られている部下も殆ど聞いていない状態になってしまいます。
説教は短いほど効き目があります。
5 他の社員と比較して叱らない
「〇〇君は、こんなミスはしないぞ」
「〇〇君は仕事も早いし正確だ。なのに君は…」などと、他の社員と比較して叱るのもNGです。
逆に「ひがみ」や「コンプレックス」の原因にもなりかねません。
6 人格を否定する叱り方をしない
「お前は馬鹿じゃないのか?何故そんな事が分からないんだ」などという発言は部下の人格を否定することになります。
部下を叱るときは、相手を突き放すような言い方は避けるべきです。
7 今叱っている内容に別件を持ち出さない
ある問題で叱っているときに、以前のミスなどを引き合いに出して一緒に叱ってしまうことがあります。
終わってしまったことを再度話しても意味はありません。
現在叱っている内容と過去の事柄を混同させるべきではありません。
8 昨日と今日で論点を変えない
一貫性を持って叱らないと部下は上司に対し不信感を抱くことになります。
昨日言ったことと今日言っている内容が違うのは部下から馬鹿にされてしまいます。
部下はどっちの話を信用すれば良いのでしょうか?
9 これから気を付けることを伝える
済んでしまったことへの注意は出来る限り短くし、これから気を付けること、これからどうしたら良いのか?などに重点を置いて話せば、部下も素直に聞くと思います。
10 愛情をもって叱る
叱る目的は、部下を教育、育成する為です。
部下を叱るときには、愛情を持って接すれば、その愛情は自ずと相手に伝わります。
叱られる部下も素直な気持ちになり、自分の間違いなども積極的に修正しようという気持ちになります。
2人の部下を同時に叱った結果
これは、ある生命保険会社で実際にあった話です。
N支店長は今後の出世のためにも支店の成績を伸ばそうと必死でした。
女性外交員はそこそこの成績を残してくれています。
そんな状況下で、男子営業部員は7人いて、そのうちの5人は月別にバラツキはあるものの、まあまあ満足の出来る成績を残していました。
問題は残り2人の営業部員でした。
Nが支店長になって6ヶ月が経ちましたが、一向に成績は上昇しません。
N支店長は前任の支店で熱血副支店長として社内でも有名で、部下を叱咤激励しながら成績を伸ばしてきた実績があります。
今回も、この2人の営業部員に発破をかけ営業成績を何とか上げようと考えました。
そこで、問題の2人を同時に支店長室に呼び、叱咤激励しました。
言葉も多少荒らげ、「成績が上がらなければ給料も上がらない」と言って、およそ30分間に亘り説教しました。
部下の性格を見抜いて叱り方を工夫しないと悪い結果を招く恐れがある
その翌日、A君は昨日と人間が変わったように元気溌剌に見え、勇んで営業に出掛けました。
B君は心なしか元気もなく覇気も感じられません。
A君はその翌日も元気に事務所を飛び出し、新規の顧客も獲得するなど、まるで今までとは別の人間に見えました。
それに引き換え、B君はその日は体調が悪いと言って会社を休んでしまいました。
1ヶ月後、A君は支店でも上位の成績を残しました。
支店長の叱咤激励が刺激になり、頑張ろうと決意したのです。
B君は、何度か病欠を繰り返した結果、退職してしまいました。
人は同じ事を言われても、どんな強い言葉で叱られても、人それぞれで受け取り方も異なります。
相手の性格に合わせて、その内容や語気なども変えるような対応が必要です。
最近は、「部下を持つような出世をしたくない」「出世するメリットを感じない」「自分の時間が無くなるので出世すると割に合わない」という会社員が多いです。
自分なりに「部下のため」と思って指導したつもりが…部下からは「うざい上司」と思われていたら…悲しいですよね.。(2020年11月21日改訂)
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