【佐川急便のセールスドライバーが配達で心が折れる理由】「アマゾンの宅配が原因で何人退職したかわからない」

東北の震災が起こる数年前、佐川急便がアマゾンの荷物を配達していた頃、「時間帯不履行」「指定日不履行」は日常茶飯事だった。

お客さんA、「14時~16時に指定した荷物がまだ届かないんだけど!」

お客さんB、「3日前に注文した荷物が届かないんだけど!」

そんな問い合わせが連日数多く寄せられていた。

岡本、「(心の中)10月25日指定?今日は10月28日だろ?」

岡本、「(心の中)もう3日も経っているじゃないか…」

だからといってドライバーを責めることは出来ない。

Aセールスドライバー、「岡本係長!まだ10月の下旬ですよ…繁忙期前なのに未配(未配達の荷物)がトラックの3分の1くらいあるんですよ…」

岡本、「そうだよな…」

こんな泣き言を言うドライバーも配達が遅いのか?といえば決してそんなことはない。

厳しいコース(宅配が多くて集荷も多い)で何回も地獄のような年末を潜り抜けてきた猛者だ。

10月中旬のある日

Aセールスドライバー、「岡本係長!今日は未配を10個してしまいました。22時30分まで頑張ったのに…」

岡本、「あの数の宅配を未配10個で収めたのか?さすがだよ!」

Aセールスドライバー、「…いえ、やっぱり未配をだすのは悔しいっすよ」

岡本、「そうだよな…」

Aセールスドライバー、「アマゾンはこれからもこんなに来るんですかね?(荷物が到着するんですかね?)」

岡本、「アマゾンの到着予測だと多いらしいよ…」

Aセールスドライバー、「マジっすか…」

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お客様第一は看板だけ

アマゾンの荷物を初めて見た頃は

岡本、「(心の中)出荷人アマゾン?へ~通販やっている会社なんだ」

岡本、「(心の中)これからは店舗に買いに行くんじゃなくネットで注文する時代になるんだよな」

くらいに思っていた。

それが数年で爆発的な荷物の量になった。

この頃のアマゾン、佐川急便は「お客様第一」という看板を掲げていても

アマゾン出荷担当者、「昨日の出荷個数より15万個多いぞ!良いぞ~、全部今日中に発送しろよ。お客さんに迷惑を掛けるな!」

佐川急便上層部A、「アマゾンが前年対比300%です」

佐川急便上層部B、「(心の中)今年の売り上げ目標はアマゾンでクリア出来るな。俺の首も安泰だ」

佐川急便上層部B、「各営業所にはアマゾンの荷物を絶対に未配するな!と通達しろ」

たぶん、こんな感じだっただろう。

アマゾンは注文が殺到して当日注文があった荷物を発送するので手一杯

佐川急便の上層部は1日何千~何万個という荷物が各営業所に到着して「やばいんじゃね?」と思っていても自分の保身の為に「全部の荷物を集荷しろ~」

という指示をする。

「お客様第一」という看板を掲げていても

・ この荷物の量を果たして配達出来るのだろうか?

・ これだけの荷物を配達するのに人員や車の台数は足りているのだろうか?

という疑問を抱いていても全て(集配、クレーム対応など)は配達をする現場任せになっていた。

今日10個の未配達の荷物が明日には30個の未配になる

Aセールスドライバーが22時30分まで配達をして10個の未配で悔しがっていた次の日

Aセールスドライバー、「岡本係長…今日は未配が30個になってしまいました。頑張ったんですけど…」

次の日、Aセールスドライバーが休みで

B営業主任、「岡本係長…Aのコースは今日で未配が80個です…Aは良くやってますよ。あの宅配の量を10個とかの未配で収めているんですから…」

そして、次の日

Aセールスドライバー、「とうとう未配が100超えました。昨日の日時指定は優先してやったんですけど…B主任がもうちょっとやってくれれば…」

B主任は仕事が出来ないのか?といえば、そうではない。

連日違うコースの配達をしても対応している。

毎日同じコースを運行しているドライバーに配達の速さ、という点では敵わない。

そして、10日後

Aセールスドライバー、「岡本係長…今日で未配がトラック3分の1埋まりました…CS(カスタマーサービス課)から問い合わせがあってもどの荷物かわかりません…」

岡本、「そうだよな…」

これが、10月下旬の出来事

繁忙期が終わるまであと2か月ある。

そして、繁忙期が終わってもアマゾンの荷物が到着する限りこの地獄は続く。

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他に良い仕事を見つけよう!

この年の繁忙期は管理職が11月中旬から年が明けるまで休みなし。

ドライバーも休みの買い取り制度があったので(会社がドライバーの休日を1日いくらで対価を払う)

2週間に1回休めばオーケー?みたいな事になっていた。

Bセールスドライバー、「岡本係長…俺、休みたいっすよ。休みの日に出勤なんて…」

岡本、「そうだよな…」

Aドライバーは休みの買い取りをして13連勤

Bドライバーは「俺、休みたいっすよ」

と言って休む

という訳にはいかない。

Bドライバー、「Aは13連勤だしな…俺もやるしかないよな…」

そして、地獄のような年末が終わって数カ月経った頃

Bセールスドライバー、「岡本係長!お世話になりました!ヤマト(ヤマト運輸)に行く(転職)ことにしたんですよ」

岡本、「…そうか…寂しくなるな…」

Bドライバー、「アマゾンの宅配がある限り毎日地獄のような日々ですよ。他の運送会社なんて佐川に比べれば天国みたいなもんですよ」

岡本、「そうかもな…」

10人前後の優秀なドライバーが次々と退職した。

Mセールスドライバー、「未配?絶対にしませんよ。する理由が分からないっす。今のドライバーは気合が足りないんですよ」

なんて言っていたMドライバーも

Mセールスドライバー、「今年の暮れは数年ぶりに未配しましたね…ていうか、こんなの誰がやったって無理でしょ」

優秀なドライバーがヤマト運輸、バス会社などに転職した。

今の佐川急便はこういうドライバーの礎のもとに成り立っている。

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