今回ご紹介するクレームはヤマト運輸としても相当困りました。
なぜなら、抜本的な対策を立てることが難しいクレームだからです。
一応、電話で応対した際には「以後気を付けます」として納得してもらいましたが・・・
その言葉以外に言いようがないクレームでした。
なぜなら、そのクレームには「天気」が関連しているからです。
そして、実はこの手のクレームは案外多いのです。
天気が悪いのは誰のせいでもないのですが?・・・
既に多くの方がイメージできるかと思いますが、悪天候時の配達で荷物が濡れるというクレームです。
お客様に荷物を届ける際、ドライバーにとって重要なことの一つに「停車位置」が挙げられます。
ただでさえヤマト運輸の配送トラックを「目の敵」は大袈裟ですが、何かあればクレームを入れてやろうと思っている人がいるのも事実です。
法律を守るのは大前提として、法律を守る範囲の中で「何処に停車出来るのか?」を考え、お届け先からの距離を考慮して効率よく集配をしなければなりません。
トラックの停車する場所に屋根などありませんので、停車した場所からお客様の自宅まで悪天候時となれば、どうしても荷物が濡れてしまいます。
そして、「荷物が濡れているぞ!」というクレームになってしまいます。
雨の日に配達するヤマト運輸のドライバーも無策ではない
もちろん「荷物が濡れているぞ!」というクレームに全く対応しない、ということはありません。
荷物をビニール袋等に入れて濡れないように配達するなど、工夫、努力をしています。
しかし、ビニール袋に入らないような荷物もありますので、その場合、数十秒程度ではあってもどうしても雨に濡れてしまいます。
結果、それがクレームとなってしまうのです。
サービスを提供する側としては言ってはならない言葉ですが「仕方がない」という言葉以外に見当たらないのが現状かもしれません。
管理人の一言
そもそも・・・荷物を梱包している段ボールや袋は雨や外傷から中身を守るためなので・・・段ボールや袋が濡れていているから汚損だ!というのは違うと思います。(これを言うとコメント欄が炎上しそうですね。。)
一方で、お客様の立場からすれば荷物の中身次第では天気に敏感にならざるを得ないことも理解できます。
いくらパッケージだからとはいえ、段ボールが濡れていたら良い気分ではないでしょう。
「どうせ箱だから」と割り切れる人もいれば、箱が濡れて商品に影響があったら・・・という声も理解できます。
管理人の一言
箱が濡れて商品に影響がある場合は運送会社の責任ではなく出荷人の責任だと思います。(荷物が雨に濡れても商品に影響を及ぼさない梱包をするのは出荷人の義務です。)
荷物が濡れていた!と言うクレームは本来であればお客様が出荷人に連絡して「雨に濡れていて使い物にならないから代品を送ってくれ!」と言うのが筋だと思います。そして、出荷人と運送会社の原因究明の交渉が始まります。
何でもかんでも仲介業者(この場合、運送会社)に責任があるのでは?というのは悪い考え方です。
意図的に配達ドライバーが雨ざらしにした、ということであれば話は別です。
運送業界はドライバーにとって働きやすい環境ではないのか?
この問題は天気ですが、悪天候云々を抜きに運送会社のドライバーにとって働きやすい環境でないことは事実です。
管理人の一言
運送会社のドライバーはそのことも承知の上で運送業を選んだのだから多少の「働きにくい環境」を考慮して仕事をしなければなりません。
例えば駐車環境が挙げられます。
比較的新しいマンションの場合、トラックの停車スペースを用意してくれている所もありますが、そのようなマンションはまだまだごく一部です。
他の大多数のマンションでは、トラックを停車する場所どころか、周辺に停車できないマンションもあります。
また、住宅地に関しても比較的新しくできた街であれば都市開発もしっかりしていますので道も広く、トラックであっても走りやすいですが、古くからの街の場合、トラックどころか軽規格のワンボックスでさえ侵入そのものができないような路地もあります。
その場合、当然ながらお客様の自宅近くに停車が出来ないので、かなり長い距離を台車を使って配達しなければならなくなるケースもあります。
もちろん運送業のトラックのためだけに都市開発をしているわけではありませんが、現状、宅配業者にとって働きにくい環境で仕事をしなければならないのも事実です。
働きにくい環境でもドライバーは仕事をしなければなりません。
軽自動車、2トン車で宅配をしている女性ドライバーが増え女性の運送業への進出も加速していますが、今一歩、「働きやすい環境」を構築することで女性が運送業に定着することが出来ます。
ドライバーの負担増加の裏側にあるもの
ただでさえこのような状況の中で、近年はお客様からのクレームが増えています。
ドライバーの怠慢というよりも、何度かお伝えしているように携帯電話の普及によって嫌なことがあれば直ぐにでもクレームを入れることができる時代になりました。
そして携帯電話からスマートフォンへの進化で、SNS等で気軽に情報発信ができるため、簡単に自分の考えや画像を投稿することが出来るようになりました。
当然、ドライバー側はそのような事情を考慮しなければなりませんし、ヤマト運輸や佐川急便という大手運送会社もドライバー教育に於いて周囲の視線を意識するよう徹底しています。
「1億総監視社会」とも言われている昨今、いつ何処で誰が見ているのか、さらには誰がSNSにアップロードするのか分からない時代です。
結果、ドライバーはそのような点も気を付けなければならない一方で、ネット通販市場の成長、拡大によって荷物が増えています。
過当競争が激しくなり物流網が整備出来ないために、サービスの提供を諦める小売業者も増えてきています。
頑張っているドライバーへの負担は大きくなる一方、人手不足解消の目途は立ちません。
ドライバーにとってはまさに「正念場」といえますが、ゴールが分かっていれば「そこまで頑張ろう」と思えるものの、ゴールのないレースに参加しているような辛さと直面しているのが運送会社のドライバーです。(微速前進で以前よりだいぶ労働環境は良くなりました)
運送会社のドライバーは悪天候にもクレームにも戦わなければなりません。
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