最近は何かあればすぐにSNSに晒され(さらされ)、少しでもルールから逸脱していれば、まるで鬼の首を獲ったかのように指摘される。
携帯電話、スマートフォンによって誰もが気軽にその場で撮影と投稿ができてしまう。
そういったクレームの話になると、どうしてもネガティブなものばかりが表に出てしまうことが多い。
運送業界ではクレームが多くて大変といったイメージが強いかもしれないが、実際にはそのようなクレームばかりではない。
どうしても「ドライバーが苦労した」といった話ばかりになってしまいがちなので、今回はヤマト運輸で実際にあったちょっと心の温まる話をご紹介しよう。
同じマンションに届ける荷物が複数ある場合は、予め連絡をして時間をずらしてもらうようお願いすることがある。
また同じお客様でも違う時間の荷物が複数ある場合も、事前の了承のもとに後の時間に合わせて配達することがある。
こうした連絡をしても「はい、大丈夫ですよ~」と快く受諾してくれるお客様はとても多い。
指定時間から少々ずれてしまっても、ドライバーがお詫びしながら荷物を届けると「ご苦労様です」と労って(ねぎらって)くれるお客様も結構多い。
SNSを見れば「時間指定に荷物が来ないからムカつく」といった書き込みなどいくらでも見かけることがあるが、本来は気にしないお客様の方が多い。
気にしないお客様は、別にわざわざSNSに「時間指定からずれていたけど気にしないよ!」などと投稿することもない。
従ってこうした話はなかなか表にでないだけで、実際にはクレーマーよりもそういったお客様の方が多いのも事実だ。
配達に伺うと必ず1000円くれるお客さん
クレームどころか、配達してくれたドライバーに差し入れをしてくれるお客様もいる。「いつもご苦労様」とお菓子等をくれるお客様はどのエリアにも必ずいる。
これはあくまでもお客様の善意であるが、配達を終えたら車の中が頂いたお菓子で溢れていたなどということもある。
寒い季節にはカイロを下さったり、暑い季節には冷えた麦茶をコップに用意してくれていたりといったこともある。
私はヤマト運輸の委託をしていた頃、おそらく賃貸住宅に住んでいるお婆さんから配達に行くと必ず1000円もらっていたことがある。
たぶん、年金暮らしで生活もそんなに裕福ではなさそうだが必ず頂いていた。年末になると3日に1回くらい配達があって都度もらうので、さすがに気が引けて断っても「いいの、いいの、もらって下さい」と、受け取るまで帰さない、という感じだった。
人情は今も昔も変わらない
人情という点に於いては今も昔も変わらないのではないだろうか?
ドライバーがいつも丁寧に配達をしていたり、あるいは少しでも落ち度があればしっかりとお詫びをする。こうした姿勢がお客様に評価されるのであろう。
ドライバーという仕事は運送業ではあるが、ヤマト運輸や佐川急便のようにお客様に荷物を届ける場合は接客という要素も含まれている。
常日頃から良い接客を心掛けていればお客様側もその姿勢に応えてくれる。
逆に横柄だったり、自分本位な配達をしていれば「日頃の恨み」とばかりにクレームへと発展してしまうことになる。
もちろんモンスタークレーマーもいるが、それはあくまでも少数派であって、毎日のようにそういった人たちに悩まされている訳ではない。
むしろ数で言えばドライバーに対して優しいお客様の方が圧倒的に多い。
決して「隙あらばクレームを」というお客様ばかりではない。
ドライバーの良い話は表には出てこない
なぜモンスタークレーマーの話ばかりが表に出るのかといえば、これはもう社会の縮図としか言いようがない。
配達先のお客様がドライバーにお菓子を上げても「今日はドライバーにお菓子を上げちゃいました」などとはSNSに投稿しないし、また仮に投稿したとしてもそのような話は拡散力がない。
人がつい反応してしまうのはどうしてもモンスタークレーマー(モンクレ)の方だ。
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