正社員、委託、契約社員などいかなる契約形態で働いていたとしても、ドライバーにとって何より怖いのは事故です。
自分自身はどれだけ気を遣っていたとしても、相手の不注意によって事故に巻き込まれてしまう可能性はゼロではないのです。
常識では考えられないような運転をするドライバーも増えてきています。
自分自身は万全な運転をしていると思っていても事故を起こしてしまったり、巻き込まれてしまうことがあります。
ましてやプロのドライバーの場合は運転時間も長いので事故に遭うリスクも高くなってしまいます。
万が一事故を起こしてしまった時、業務への支障も含め様々なことが懸念されます。現実的には「事故処理費用をどうするのか？」が何より大きな問題です。
大きな会社であれば保険等も完備しているので、この保険でカバーすることができます。
しかし、中小・零細の運送会社では、事故を起こした場合保険でカバーできない費用は大きな負担になってしまいます。
明らかにドライバー側に過失がある場合には、運送会社がドライバー個人に対して損害賠償請求をするというケースもあるのです。
会社が交通事故を起こしたドライバーへの損害賠償請求
自社のドライバーの過失による事故の場合には、会社がドライバーに対して損害賠償ををするのは当然の権利です。
問題はこの損害賠償請求が裁判所で認められるのかどうかという点です。
過去の判例によれば、会社側がドライバー個人に対しての損害賠償請求を行い、会社側の主張が認められているケースが多々見られます。
但し、これには条件があります。
決して無条件で会社がドライバーに対して損害賠償請求できる訳ではなく、「ドライバー個人の過失が認められる場合」に限られます。
事故対応だけではなく、会社としての在り方が問われる
例えば、休みも与えず、貸与しているトラックのメンテナンスも行わず、無理な運行を組んでドライバーに大きな負担を与えているような状況であればどうでしょう。
この場合は当然「会社の責任」が問われ、会社がドライバーに対し損害賠償請求を行ったところで、棄却される可能性が高いのです。
逆に常日頃からドライバーの体調管理に気を配り、トラックもしっかりとメンテナンスを行い、万全の運行を組んでいた。そのうえでドライバーの過失が認められた場合にのみ損害賠償請求が認められることになります。
従ってここでポイントになるのは「ドライバーの過失があるか否か？」です。
ドライバー自身の過失とは？
具体的に言えば、スマートフォンを操作しながらの「ながら運転」、「無理な追い越し運転」、「飲酒」などがドライバーの過失例です。自己でメンテナンスを行う場合にはトラックの摩耗・消耗に気が付いていたにもかかわらず、何もしなかった場合にはやはりドライバー個人の責任が問われることになります。
つまり、事故の起きた原因がどこにあったのか？が問われるのです。
運送会社がドライバーの労働環境を万全にしていたにも関わらず、ドライバーの過失によって起きてしまった事故であれば、ドライバー個人が損害賠償を請求され、それが認められる可能性が高いということです。
安全運転が大前提
事故の際、会社から損害賠償請求をされないためには、ドライバーが日頃から安全運転を心掛けている姿勢が大前提になります。
ドライバーにとって安全運転は会社から毎日確認され、自分自身も心掛けている最重要事項です。
会社の壁には「安全運転」の張り紙もあることでしょう。安全運転を心掛けていたにも関わらずに起きてしまった事故であれば会社側としても全面的にドライバーの責任を追及することはないはずです。
しかし、安全運転を怠ったがために起きてしまった事故は全て自己責任です。
飲酒運転は論外ですが、特に近年増えているスマートフォンを見ながらのながら運転も当然自己責任。
ドライバーにとっては、運転中にも会社から指示があったり、あるいはルートの変更・確認等で電話で会話をしなければならないこともあるでしょう。こうした時に備えハンズフリー環境を整えるなど、ドライバーと会社が一体となって安全運転に取り組むことが求められます。
会社を辞めても損害賠償請求は出来る
一生懸命働いていたにも拘わらず損害賠償請求を求められたら気分が良い訳はありません。
その際「こんな会社辞めてやる」という気持ちにもなるでしょう。
しかし、ちょっと待ってください！
例え会社を辞めたとしても損害賠償請求そのものがなくなる訳ではないのです。
勢いに任せて会社を辞めて無職になったとしても、残念ながらドライバー自身の過失による事故に関しては損害賠償請求が行われ、支払いを命じられることになります。
このような事態を避けるためにも万が一事故を起こしてしまった際、どのような補償が用意されているのか？、契約条件などを一度確認してみるべきです。
事故は、いつ自分の身に降り掛かってくるか分からないことなので、すぐにでも確認しておくことをオススメします。
コメントを残す