2016年9月に起こった佐川急便身代わり出頭事件は、48件の駐車違反のうち7割にあたる33件で身代わりが行われ、62人が摘発されて終結しました。
今回の話は、何故?佐川急便の管理職が駐車違反をしたドライバーをリスク覚悟で身代わり出頭させたのか?真相を解説します。
前回の記事も参考にして下さい➔ 【佐川急便の管理職が駐車違反をしたドライバーを身代わりにした事件】再発防止策がお粗末な内容check
佐川急便は、放置駐車違反で起きた身代わり出頭事件の原因究明及び再発防止策を独自に調査、提言を目的に外部有識者3人の弁護士からなる社外調査委員会を設置し、2016年12月13日から17年3月9日まで活動しました。
(ひとり言: まさか? 外部有識者3人の弁護士って佐川急便の顧問弁護士じゃないよね~?)
社外調査委員会は、在籍する従業員4万7700人を対象にアンケートを実施しました。
また、身代わり出頭事件の関係者にも事件発生までの経緯や背景をヒヤリングしました。
この結果、対象の従業員の回答は、・・・
➀ 車両を使用して配送を行っているドライバーが、事故・違反を起こした際の教育期間中、運転以外の業務にあたる「下車勤務」で同僚に迷惑がかかる、と思っていた。
➁ 駐車違反の報告がしづらい職場環境だった。
➂ タワーマンション、幹線道路などの集配エリアの特性が関係していた。
➃ 指導・教育内容のバラツキがあった。
➄ 違反による減点逃れをしようと自己判断した。
➅ 犯罪行為であることへの認識を欠如していた。
と、いう回答でした。
佐川急便身代わり出頭事件の再発防止策はコチラ➔ 放置駐車違反身代わり出頭に関する原因と再発防止策についてcheck
では、何故?
何故?佐川急便の管理職が駐車違反をしたドライバーを身代わりに?
何故?管理職、ドライバーが身代わり出頭という手段を思い付き行動を起こしたのか?
そうしようとした背景は、何なのか?
これが、肝心かなめの問題点ではないだろうか?
対象の従業員が回答した①、③、➃、➄、⑥は、管理職、ドライバーが身代わり出頭という事件を起こした原因ではあるが、肝心かなめの問題点は➁である。
➁ 駐車違反の報告がしづらい職場環境だった。
佐川急便のこうした職場環境が原因で事件を起こした管理職、ドライバーは、考えに考え抜き身代わり出頭という手段を思いついたのではないだろうか?
➅ 犯罪行為であることへの認識を欠如していた。
誰でも身代わりで出頭する行為が犯罪になるのではないか?、とわかるだろう。
それでも、その場逃れの身代わり出頭行為を選んでしまったのは、佐川急便社内で事故、違反をした時の報告がしづらい環境だった、ということだろう。
私にも同じような経験がある。
事故、違反をしたドライバーは下車勤務
私は、2012年1月20日で佐川急便を退社したが、前年の10月16日に事故を起こし、それが原因で退社した。
管理職でありながら年末前、これから最繁忙期になるというところで事故を起こし、「下車勤務」になり給料も10万円ダウンした。
勤続18年、たった1回の事故で「下車勤務」
管理職でありながら事故を起こした責任は、重大で弁解のしようがない。
佐川急便という会社はそういう会社で、会社を辞める時の一つの可能性の中にこういうこともあるのかな?、とは常々思っていた。
事故を起こし「下車勤務」になったドライバーは、社内で罪人扱いされる。
ドライバーに復帰出来るまでには、何枚もの反省文、レポートを書かなければならない。
そして、何時間も運行管理責任者の同乗指導を受け、今回、問題になった江東区にある東京店に行きドライバー復帰試験(罰ゲーム試験)を受ける。
ドライバーに復帰するための試験を不合格で土下座
罰ゲームという言葉は少々ぬるい。1度や2度では、まず合格出来ない試験で、5回も不合格するとドライバー復帰試験すら受けられなくなる。
つまり、ドライバーの資質がないと見なされる。
最後の試験を受けて不合格になり、土下座して「ドライバーに復帰させてください!」と懇願するドライバーもいた。
土下座して不合格が合格に変わることなどない。
最終試験に不合格でドライバー失格とみなされた時点で、永久にドライバー復帰は出来なくなる。
そういう厳しい試験だった。
最終試験に落ちてドライバー復帰出来なかった元ドライバーは、会社から職種変更(カスタマーサービス課、配送課)することを提言される。
下車勤(下車勤務)が、社内でどういう扱われ方をされていたか見当がつくのではないだろうか?
こういう背景があったから、究極の選択で身代わり出頭という手段を誰かが思い付き、実行して、それが、不幸にもバレずに蔓延していったのではないかと思う。
ドライバーを守れないようでは、管理職失格
しかし、私は、事件を起こした管理職、ドライバーを擁護しようとは全く思わない。
運送会社に勤務していると常識的にはダメなことでも日常的に起きてしまっている(起こしている)ことは多々ある。(例:遅配、誤配、破損など)
身代わり出頭は、許される(遅配も誤配も破損も決して許されると言っている訳ではない)範囲を逸脱している。
この管理職が、率先して身代わり出頭を指示していたのなら管理職をする器ではない。
こういうことをすれば犯罪になると考えられる頭がない。
結果、指示に従ったドライバーは、罪人になってしまった。
事件を起こした管理職、ドライバー、関係者の方々も62人も摘発される前に疑問を抱いて、佐川急便の相談窓口に相談するべきだっただろう。
内部告発で事件が発覚していた方が、まだ救いがあっただろう。
佐川急便は、放置駐車違反の防止策として次の➀~➂を進めると公表した。
➀ 駐車スペースを確保するため月極駐車場の増設をする。
➁ 2人乗務体制の整備をする。
➂ 車両を使用しないサービスセンター、デポセンターといった小規模店舗を配置し、台車などを使用して配送する拠点展開を進める。
タワーマンション、幹線道路が多い配達が厳しいエリアでは➀~➂の整備は必須だ。
ドライバーに過度な負担が掛からないように駐車スペースの確保、2人乗務体制の整備を速やかにしなければならない、と思う。
佐川急便は経営者がパワハラを黙認する会社
佐川急便の経営者は「下車勤務」「ドライバーに復帰するための試験」というパワハラを黙認し社員を罪人にしてしまった。
社員を守れないようでは経営者の能力がない、と言わざるを得ない。
佐川急便は、身代わり行為の再発防止策も打ち出している。
「身代わり行為に関連する事案の概要を周知し、事件の教訓が風化しないよう定期的に不祥事防止教育に活かす。また今後は「身代わり行為」に関連する社内処分を厳罰化し、交通違反の報告先を営業所の運行管理者に統一、報告体制図に明記する。」
身代わり出頭事件が、何故起こったのか?、ということを考えれば、こんな再発防止策は的外れもいいとこだろう。
事件を起こした管理職、ドライバー、関係者の方々は、究極の選択をして犯罪を犯してしまった。
SGホールディングス全体で、事件を起こしてしまった社員や関係者の方々が、どうしてこのような行動をとってしまったのだろうか?、ということをもっと考えなければならない。
私が、退職した2012年から現場では、働く者たちの悲鳴が聞こえていたはずなのに、SGホールディングス、佐川急便の上層部は、働く社員達の悲鳴を聞く能力のない出来損ないの上層部ばかりだった。
その結果、今まで先輩方々が積み上げてきたSGホールディングスブランドを著しく失墜させた責任は重大だ。
SGホールディングス、佐川急便の上層部の方々は、事件を起こした管理職、ドライバー、関係者の方々に責任を負わせるのではなく、社員を守れなかった能力のなさを恥じてもらいたい。
今回、摘発された62人の方々は、佐川急便で働く4万7700人の代わりに、職場環境改善の問題提起をしてくれたともいえるだろう。
ベテランの現役ドライバーです。
過去記事から同年代だと思われます。
清さんが亡くなってから、一気に社風が変わって行きましたね。
イケイケ時代の佐川急便の体験談、懐かしく感じました。
飛脚君さん
コメント、本当にありがとうございます!
現役のドライバーさんからのコメントは、初だと思います。
しかも同年代! 本当にありがとうございます!
昔を知る人にとって今の急便は、物足りなく感じると思います。
時間管理もなく完全なブラック企業でした。
でも、忙しすぎるからこそ同じ班の先輩、後輩とは、ある意味、肉親以上の関係が築けたと思います。
何年、経とうが良い思い出であり財産です。
我々世代で昔の急便を知っている人で現役は、残り少ないと思いますが、どうかお体に気を付けて、一人でも、二人でも昔の佐川魂を継承していく人を作って下さい。
それが、我々世代の宿命だと思います。
P.S. 今年の夏は、長そうですね~ 毎日、汗だく、へべれけです。ヽ(TдT)ノ
お疲れのところ、コメント、本当にありがとうございます!
私が知っている限りの情報をお伝えして、お役に立てればと思っております。
今後ともよろしくお願いします。(また、コメント下さいね! 元気出ます!)