【ヤマト運輸のドライバーが事故を起こした末路】仕分け作業員降格は現代の島流し

ヤマト運輸にせよ佐川急便にせよ、運送業界におけるドライバーの事故は珍しくない。

仕事として車を運転していれば一般のドライバーよりも事故に遭遇する可能性は高い。事故とはまさに予期せぬアクシデントだ。

自分自身がどれだけ注意をしていても、飲酒運転に巻き込まれたり、近年増えている逆走車が前から現れたりなど、なかなか回避できないケースもある。

だからこそ事故に関してはドライバーに同情すべき点もあるのだが、ヤマト運輸としてはいかなる事情があるにせよ看過できない。

一番恐れているのは「事故を起こしたドライバーをまだ普通に働かせているのか?」というクレームだ。

事故の事情がどうあれ事故を起こしたドライバーという事実には変わりない。

そのようなクレームの対策として、ヤマト運輸にはいわゆる「暗黙の了解」がある。

事故を起こしてしまったドライバーは運転業務を続けさせずに他部門に異動させることになっている。

それはベース作業だ。「ヤマト運輸の仕分け作業」を行っているベースで働かせる。

ベース作業はお客様と向き合うこともなく、あくまでも荷物の仕分け作業をする部署。庫内で車を運転することもないので事故のリスクはゼロだ。

いわばここで禊(みそぎ)をさせることになるのだが、実はここにある事情が隠されている。そのため、ヤマト運輸の内部では「島流し」と揶揄されることもある。

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給料は実質的にダウンする

それまでドライバーとして働いていた人が仕分け作業に従事することになるのは、プライドの問題というよりもむしろ金銭的な面が大きい。

ドライバーには様々な手当が付くが、仕分け作業には何も手当は付かない。

事故を起こすリスクもなければお客様に会うこともないのでプレッシャーもない。

楽な仕事ではあるが、ドライバーと比べれば当然賃金が低くなる。

家族手当などは継続されるが、残念ながら運行手当などドライバー関連の手当てが一切なくなり、大幅に手取額が下がってしまうことになる。

当然だがこのような事情はヤマト運輸のドライバー間では共有されており、今後は「事故を起こさないように」との気持ちを強くさせる効果はある。

島流しの期間は立場によって変わる

仕分け作業をさせられる期間は会社との契約形態によって異なる。

いわゆる「マネージ」と呼ばれる正社員待遇のドライバーの場合は、事故の程度にもよるが「1ヶ月」程でドライバーに復帰できるケースもある。

会社としても「事故に対して真摯に研修を行った」という「大義名分」が立つ。

一方、「キャリア」と呼ばれる契約社員待遇のドライバーの場合は、残念ながらドライバーに復帰するのはそう簡単ではない。

これからはドライバー不足が加速していくこともあり、この「暗黙の了解」も崩れることになるかも知れない。

ヤマト運輸の現段階での認識としては「キャリア程度であればわざわざ一度事故を起こしたドライバーを復帰させる必要はない」と考えているようだ。

そのため、ドライバーとして入社し、キャリアからマネージへとステップアップを目指していたものの、事故を起こしてしまったがために何十年と「仕分け作業の責任者」の地位にいる元ドライバーもいるという。

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キャリアとマネージには目に見えない厚い壁がある

事故を起こした「その後」の待遇だけではなく、キャリアとマネージには目に見えない大きな大きな壁がある。

正社員と契約社員に違いがあるのは仕方がないが、まずキャリアは基本的に時給だ。

正社員ドライバーであればこそ様々な手当が付くが、契約社員にはボーナスもなければ「マネージになるために」と目の前にニンジンをぶら下げられ、いいように使われているのが現状だ。

事故を起こしてしまった際の対応も異なる

マネージとキャリアの場合、事故を起こしてしまった時の対応も異なる。

マネージが事故を起こしてしまった場合、当該ドライバー本人のみが相手先にお詫びに伺う。

しかしキャリアが事故を起こしてしまった場合には、ドライバー本人と主管支店長が赴いてお詫びすることになっている。

その際、主管支店長のお詫びの台詞は「バイトのドライバーなのでご容赦ください」だ。

キャリアは一般世間では契約社員相当。バイトと言っても差し支えないのだろう。

また、「バイト」だと言えば「バイトなら仕方がない」と言ってくれる人も多い。

つまり、キャリアのドライバーが事故を起こしてしまった場合は、ドライバーに戻ることもできず、「仕分け作業の責任者」という立場を全うしなければならない羽目になる。

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キャリアからマネージへのステップアップは可能だが・・・

「キャリア」から「マネージ」へのステップアップは組織上は可能だ。

だからこそ、キャリアのドライバーはマネージへのステップアップを夢見て頑張っているのだが、非常に「狭き門」であることは言うまでもない。

そもそもヤマト運輸とすれば契約社員でいてくれた方が人件費の抑制になるし、上層部は「ドライバーなど代わりはいくらでもいる」との認識が強いので、余程の幸運に恵まれない限りマネージになることは難しい。

また、タイミングの問題もあるので実力さえあれば、という訳にもいかない。

しかし、時代は変わりつつある。

事故を起こしてしまったドライバーの処遇に関しては致し方ない面もある。しかし、少なくともマネージへのキャリアアップはもう少し条件を緩和しても良いのではないだろうか。

ドライバーたちに「どうせマネージになれない」との思いが蔓延するようになったら、結局は、ヤマト運輸のドライバーの質の低下に繋がることになろう。

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