【中学受験学習塾のクレーム】モンスターペアレントへの管理職の対応

私がまだ代々木にあった「中学受験塾」で管理部門の責任者をしていた頃のことです。当時は東京・神奈川・埼玉・千葉地区に30以上の教室を持ち、生徒数も3,000人を超えるかなり有名な塾でした。今回はそのときの怖いクレームの話です。

 

「1年も通っているが、一向に成績が上がらない。どうしてくれるんだ」

 

管理部の女性社員が取った電話口でいきなりこう怒鳴られたそうです。責任者を出せ、ということだったので、私が電話を替わりました。それは、藤沢教室に通うY君の祖父からでした。

 

祖父、「うちの孫はお宅の塾に1年以上も通っているのに一向に成績が上がらない。お前んとこの先生の教え方が悪いんじゃないのか。塾はお前んとこだけじゃないだ。直ぐにでも止めさせて他の塾に行かせるから授業料を返せ!」

 

私、「それは申し訳ありません。教室長から事情を聴いて然るべき対処をいたします」

 

祖父、「藤沢の教室長も同じことを言っていたよ。うちの娘が教室に行って、教室長に何とかしてくれと頼んだんだが、結局、埒(らち)が明かないから俺がこうして本部に電話しているんだ」

 

私、「それは重ね重ね申し訳ありません。教室で解決できなかったとのことですので、本部の方で対処させていただきます。

 

こうしたクレームは一番始末が悪い

 

実はこの類のクレームは一番始末が悪いもので、対処の仕方が大変難しいのです。保護者は子供や孫が塾へ行ったら一生懸命勉強していると思い込んでいるのです。これは保護者からすれば当然と言えますが・・・。

 

成績が上がらないのには、いくつか理由が考えられます。元々学校での成績も悪く、塾へ通っても塾の授業に付いて行けない。

 

学校の成績はそこそこで、塾の授業も理解できるが、塾で余り勉強しようとしない。

 

親が塾へ行けと言うから通っているだけ。

 

このように塾だけに責任を押し付けられないような理由もあるのです。成績が上がらないというクレームをしてくるケースは大体これらのどれかに該当するのです。

 

しかし、保護者としてみれば、「高い授業料」を払って塾に通わせているのだから、成績が上がって当たり前、また上がってもらいたいと考えています。

 

ある個人塾の経営者が保護者から同じようなクレームを受けた際、思わず心の中でこう叫んだとのことです。「成績が上がらないのはあんたの子供のアタマが悪いからだ!」。本当にこんな事が言えたらきっと胸がスッキリするだろうなと思ったものです

 

それからもその祖父からのクレームは延々と続き、1時間を超えようとしてしていました。

 

祖父、「俺も忙しいんで、この問題は直ちに解決してもらいたいんだ」(どこが忙しいのでしょう?)

 

私、「本部としてもお孫さんの成績の状態などもしっかり調べて対応させていただきたいので、できるだけ急ぎはしますが、今直ぐにというのは無理です」

 

祖父、「俺も忙しい中こうして電話しているんだ。すぐにでも解決できないならば、お前んとこの会社に火を付けてやるぞ!」

 

逆襲の最大のチャンスがやって来た!

 

電話での会話も膠着状態に入っていたので、困ったなと思っていたところへ、この発言です。私は心の片隅ではこうした「過激な発言」を待っていたのです。これでこのクレームは終了させることができるものと確信しました。

 

私、「お客様、今何とおっしゃいましたか? 会社に火を付けてやる、とおっしゃいましたね」

 

祖父、(ちょっと言い過ぎたかなといった雰囲気で)「そんなことは言ってないよ」

 

私、「当社では、お客様へのサービスの向上と改善のために、会話は全て録音してありますので、言われたか言われないかは録音を調べれば明らかになります。これを警察に届ければ『脅迫罪』が成立することになりますが、それでもよろしいですか?」

 

祖父、「ちょっと待ってくれ!つい興奮してあんな事を言ってしまって申し訳ない。この事はなかったことにしてくれ」

 

私、「『この事』とは、今日のお電話の内容のことでしょうか?それとも『火を付けるぞ』発言のことでしょうか?」

 

祖父、「両方だ。時間を取らせて申し訳なかった」

 

私、「いいえ、当社としても直ちに解決できないことは心苦しく思っております。しかし、これからはお孫さんには特別の注意を払うよう藤沢教室の教室長や先生たちにも指導いたします。今後とも引き続き藤沢教室をよろしくお願い申し上げます」

 

祖父、「俺は君が気に入った。君の名前と役職を教えてくれないか?」

 

私、「管理本部長をしているNと申します。今後ともよろしくお願いいたします」

 

祖父、「こちらこそよろしく。今後何かあったら君に直接電話をしてもいいかな?」

 

私、「もちろんです。いつでもお待ちしております」

 

後日談

 

それ以来、この「祖父」が二度と電話をしてくるようなことはありませんでした。そして、お孫さんの成績も徐々に良くなり、嬉々として塾に通っているそうです。

 

もちろんお母様もご機嫌でそれ以来教室にクレームしてくるようなことは一切ありませんでした。

 

【管理者後書き】

流石ですね^^  私はクレーム処理の際、ここまでなかなか言えなかったですね(><:
クレーム対応をしている読者さんにとって参考になる記事だと思います。^^

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