現在、日本において、Uber本来の自家用車による運送サービスが「白タク行為」に該当するとして認められていません。
コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、Uber Eatsが飛躍的に日本で拡大成長を遂げていますが、Uber本来の仕事であるUberタクシーは今一認知されていないのが実情です。
今回の話は、「何故?Uberタクシーが日本で広がらないのか?」についてお話致します。
Uber タクシーのドライバーになるのはどうすればいいのか?
タクシーを利用するお客さんには関係ない話ですが
Uber タクシーのドライバーとして登録できるのは、タクシーの運転資格を持っている人に限られています。
「個人タクシー事業者」免許を所持していないと登録はできません。
個人タクシーを開業できるのは「同一のタクシーまたはハイヤー事業者に10年以上雇用されている」ことが条件になります。
従って、現在、個人タクシーを開業している人に限られるので、Uber タクシーのドライバーになることが出来る人は、限られたドライバーです。
何故?日本ではUber タクシーが普及しないのか?
ひと言でいえば「無許可タクシー業の禁止」に該当するからです。
道路運送法第4条は「一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を得なければならない」と規定しています。
従って、国土交通大臣の許可を得ていない運送事業は全て違法行為に該当することになります。
日本で白タクが解禁されたとすると、どんな問題が起こるのでしょうか?
白タク(自家用車を使ってタクシー営業をすること)について詳しく解説されているサイト様を見つけました。➔ 交通事故弁護士ナビcheck
専業タクシー、ハイヤーのドライバーが生活できなくなる
羽田空港や駅周辺で中国人が白タク行為をすることで、既に専業タクシードライバーの生活が脅かされています。
法律上も白タク営業を認めるようなことがあれば、タクシー、ハイヤー業界は崩壊するかもしれません。
全国ハイヤー・タクシー連合会(東京都千代田区)によれば、中国からの観光客を対象にした白タクが国内に横行し始めたのは2016年頃からだと言います。
タクシーを利用するお客さんが白タクに流れてしまえば、タクシーの売上が減少し、ドライバーはタクシー会社で働いても生活することが厳しくなります。
ドライバーの質が担保できず、トラブルが頻発する
タクシードライバーになるには、普通自動車第二種免許の取得が義務付けられています。
こうした形式的な事よりももっと大事なことは、資格を獲得するためのプロセスです。
営業エリア内の道路や交差点の名称、駅や有名な建物の所在地などの知識が求められる「地理試験」にもパスしなければなりません。
接客やマナーの研修も受ける必要があります。
健康状態をチェックする為の厳しい健康診断も必須条件です。
白タク行為をしているドライバーは、こうした試験や研修をパスしているプロのドライバーではありません。
白タク行為の問題点
1 白タクは、事故が起きた時の損害賠償保証がない
正規のタクシー、ハイヤーの運営業者は、乗客に被害を与えた場合の賠償能力の有無などを審査のうえで営業免許を受けています。
白タクは、こうした賠償は一切保証されていません。
交通事故を起こしたり、巻き込まれたときの乗客への賠償補償はどうなるのでしょうか?
2 法外な料金を請求される可能性がある
一般的に白タクは正規タクシーより割安だと言われてはいます。
日本に初めて来てタクシー料金の相場を知らなければ観光客は安いかどうかの判断ができません。
実際に悪徳白タク業者からぼったくられた例も多く見られます。
3 安全性や事故が起きた時の対応
白タクドライバーは、いかに効率よく稼ぐか、という考えだけで自分本位な仕事をしています。
乗客を安全に目的地まで送り届けようとする心構えなどは持ち合わせていません。事故が起きた時の対応も心配です。
4 保険に加入しているかどうか不明
正規のタクシーの場合には自賠責保険はもちろん、必ず任意保険の加入も義務付けられています。
国土交通省が定めた任意保険の条件は、対人賠償8,000万円以上、対物で200万円以上(免責30万以下)です。
Uberの規制が解除されたらどうなるか?
都会においては法律上の規制もさることながらタクシー、ハイヤー業界からの反対や反発によりUberシステムが普及するにはまだまだ相当の時間が必要と思われます。
しかし、安倍前首相の指示による地方の「国家戦略特区地域」の規制緩和は、それほど時間が掛からないで進むものと思われます。
地方には地方特有の問題点もあります。
高齢者等、買い物難民の問題
採算が取れずにバスやタクシー業者が撤退したり、高齢者が車の運転ができなくなり買い物にも行けない、いわゆる「買い物難民」が問題になっています。
その対策としてUberのシステムが活用できないか?大いに検討の余地があります。
都会において、交通手段や買い物の不便さを経験したことのない人にとっては、日々の生活に必要な生活物資が買えないことは想像もできないことでしょう。
しかし、現在全国にはこうした買い物難民や買い物弱者は700万人以上もいると言われています。
こうした人たちにとって、地元のドライバーがUberに登録して買い物や娯楽施設などへの運送を行えば、この問題は解決できるはずです。
同時にこうした過疎化した地域に旅行する邦人外国人にとってもUberシステムがあれば便利なことは間違いありません。
バスやタクシー業界とバッテイングすることもないので、お互いに「Win-Win(ウィンウィン)」の関係で問題を解決するにはこの方法がベストと思われます。
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