私が佐川急便の管理職(係長)をしていた頃、年間に何千と謝罪をしていたのではないだろうか?
些細なクレームから何日も時間を掛けなきゃ解決出来ないクレームまで、時には休日に時間を割いて制服に着替え菓子折りを自腹で買って謝罪に行く、なんてことも珍しくはなかった。
月に60万という給料はもらってはいたが、割が合うか?と言えば「給料に見合う良い仕事だな~」なんて思ったことは一度もない。
私の他にも「係長」という肩書がついている戦友が6人いたが、戦友だけには負けたくない(一番にリタイアしたくない)という気持ちだけで仕事をしていた。
ここからの話は一般的なクレーム対応の仕方についての話になりますが、佐川急便の管理職でクレーム対応は絶対に身に着けていなくてはならないスキルなので参考にしてもらえれば幸いです。
個人宅への配達をする運送業はお客様からクレームを受ける可能性が高い業種の一つではないでしょうか?
運送業は荷物を運ぶという点では物流ですが、宅配ドライバーの場合、僅か数分にも満たない時間であっても、お客様と接する時間があるという点で接客という性質も持ち合わせています。
ドライバーや会社に非がある場合は真摯にお客様に謝罪しなければなりませんが、昨今は、お客様が「モンスタークレーマー」になるケースも珍しくありません。
例えモンスタークレーマーが相手でも、お客様へのクレーム対応で「してはいけないこと」があります。
モンスタークレーマーに限らずクレーム対応では絶対に言い返して(反論)はいけません。
モンスタークレーマーへの対応で絶対に使ってはいけない言葉を事例を挙げて解説しているサイトを見つけました。➔ クレーマーの餌食になる人はみな 「この言葉」を使ってしまうcheck
どう考えても「そちらがおかしいのでは?・・・」と思うようなことや、「それはただの言いがかりでしょ?」と思うようなクレームであっても、相手の言い分に反論して「だからこちらは悪くありません」という態度はご法度です。
モンスタークレーマーと議論や会議をしているわけではありません。
モンスタークレーマーには否定の言葉は御法度
会社の会議や、あるいは何かしらの答えを求める議論であれば間違いを積極的に指摘し、より良い答えを導き出すことが大事ですが、モンスタークレーマーが求めているのは「答え」ではありません。
モンスタークレーマーが考えていることは自分の気持ちを発散させるか、あるいは相手を困らせようとする気持ちであって、決して建設的な議論を求めている訳ではありません。
通常のクレームを寄せるお客様の場合、自分の気持ちをぶつけたいというだけではなく、クレーム案件の問題点と今後の改善点を冷静に話し合うことが出来ます。
そして、お客様からのクレームの問題点を改善することで会社を成長させることが出来ます。
しかし、モンスタークレーマーからのクレームは話が別です。
モンスタークレーマー相手には絶対に反論してはいけません。
「いや」「でも」「それは」といった接続詞から始まる言葉はご法度です。
反論は、火に油を注ぐだけでしかありません。
なぜなら、モンスタークレーマーは「そっちが頭を下げろ」というスタンスです。
そのような相手に、否定から始まる言葉を言ってしまうと「こいつ頭を下げる気がないな!」と判断されてしまいます。
すると、ただでさえ理屈が通用しない相手を、更に理屈が通用しない状況にしてしまいます。
自分だけでは解決できなくなり無駄に時間を浪費するだけになってしまいます。
当然、クレームを受けている間は業務どころではありません。
ヤマト運輸や佐川急便のような大きな会社であればオペレーターが応対してくれることもありますが、営業所やセンターにクレームが入った場合、営業所、センターのスタッフがクレームに応対することになりますので、貴重な「一人のスタッフ」が完全に何もできない状態になってしまいます。
モンスタークレーマーからのクレームは、絶対に反論してはいけません。
ただ謝れば良いはダメ
モンスタークレーマーに反論してはいけませんが、一方でただ謝れば良いのか?というと、それも間違いです。
なぜなら、モンスタークレーマーは自分の気を晴らしたいのです。
相手が謝ってばかりだと、次第に「歯応え」を感じなくなります。
謝っているだけだと、「ちゃんと話を聞いているのか?」という新手の怒りが沸々と湧いてきます。
難しいことですが、「反論してはいけない」と共に「ただ謝れば良い」はダメです。
神対応はモンスタークレーマーの言葉を復唱して応対する
モンスタークレーマーへの神対応は、「相手の言葉を復唱する」です。
例えば「こうしろって言ってんだろ!」といったクレームに対し、「今後はそういった形で・・・」など、相手の言葉を復唱する対応こそベストです。
なぜなら、モンスタークレーマーに「話をしっかり聞いている」「提案を受け入れている」といった気持ちを植え付けることがベストパフォーマンスです。
また、モンスタークレーマーが「〇〇をしろ!」と言ったら「〇〇・・・なるほど、それは是非参考にさせていただきます」といった応対をすれば、相手の自尊心をも満たすことが出来ます。
モンスタークレーマー応対で「申し訳ありませんでした」を連発すれば「謝れば済むと思っているだろ!」と思われて解決できない迷宮探索になってしまい、最終的に「お前じゃ話にならないから担当変えろ!」という最悪のシナリオになってしまいます。
もちろん会話の節々で謝罪の言葉を入れることも大切ですが、謝罪の言葉を連発するのではなく、モンスタークレーマーのクレーム内容を聞いて把握した上で、「ここぞ」という時に「申し訳ありませんでした」を言うべきです。
最上級の謝罪の言葉「申し訳ありませんでした」を連発して軽い言葉にしてはいけません。
モンスタークレーマーも人間です。電話をかけてきた当初は気持ちが高ぶっているものの、落ち着いたトーンで話をしてモンスタークレーマーの神経を逆なでしなければ徐々に気持ちが落ち着いてきます。
そこで、最上級の謝罪の言葉「申し訳ありませんでした」が有効な手段になります。
最上級の謝罪の言葉「申し訳ありませんでした」は九回裏に登場する抑えのエースのような感じで使って下さい。(2019年12月21日改訂)
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