近年、アクセルとブレーキを踏み間違えたことによる事故が頻発しています。
直近では、昨年の12月26日、福岡空港でタクシーが暴走し3人をはねるという事故が発生しています。73歳の男性運転手は、「客の荷物を降ろそうとしたところ、車が勝手に動き出したので、ブレーキを踏もうとしたが慌ててアクセルを踏んでしまった」と話しています。
一般人が同じような理由で事故を起こすのも大きな問題ですが、プロのタクシー運転手でさえアクセルとブレーキを踏み間違える事故を起こす可能性があるということを知っとく必要があります。
ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は、国内で年間7,000件以上。それに伴う死傷者は毎年1万人以上を超えるという統計があります。
それでは、何故アクセルとブレーキを踏み間違えるのでしょうか? 事故を起こすドライバーは70歳以上の男女が圧倒的に多いと思われがちですが、意外にも、18~29歳の男女の数も多いのに驚かされます。
アクセルとブレーキの踏み間違い事故は、駐車時、発進時、渋滞時に多いとされています。コンビニや病院などで駐車する際に、慌ててパニックを起こしペダルを踏み間違えるパターンが多数見られます。
また、発進➔ 停止➔ 発進を繰り返す渋滞時にも多く見られます。
初歩的な間違いを起こすのには、次のような場合も考えられます。
・ 集中力が欠けぼんやりしていた。
・ 脇見をしていた。
・ 慌てていた。
・ パニックで判断を誤ってしまった。
・ 乗り慣れない車に乗っていた。
・ 左足でブレーキを踏んでいた
アクセルとブレーキを踏み間違える原因
それでは、アクセルとブレーキの踏み間違い事故は何故多発するのでしょうか?
原因のひとつは、自動車の操作ペダルは、加速、減速ともにペダルを右足だけで踏むことにあると言われています。
例えば、バイクの場合は、加速はスロットルを回し、ブレーキはレバーを握るというように、アクセルとブレーキの操作がはっきりと区別されています。
これは、クラッチペダルのあったMT車の名残と言われ、AT車が広まりクラッチペダルが無くなったからと考えられます。
高齢者がアクセルとブレーキの踏み間違い事故を起こす理由
踏み間違い事故の多くは高齢者に多いことは周知の事実です。
高齢ドライバーが認知症によって事故を起こす場合もありますが、若い世代と比べ、危険が迫った際のとっさの判断、操作が遅くパニックを起しやすいためと言われています。
事故事例では
・ ゆっくりと発進したが、突然、子供や犬、猫が飛び出してきたので、慌ててブレーキペダルではなくアクセルペダルを踏んでしまった。
・ 後退の際、アクセルペダルを踏む感覚が前進の場合と違い、思ったよりスピードが出てしまったので、ブレーキを踏もうとしたところ、アクセルを踏んでしまった。
このように、車を発進する際は冷静に運転することが出来たのに、突発的な状況になったとき、正しい対応ができないのは高齢による判断能力の衰えに依るところが大きいです。
もちろん、高齢者でも判断能力を十分に維持している人も多くいるでしょう。しかし、高齢ドライバーが事故を起こせば「高齢だから事故を起こした」、と言われてしまうのも事実です。
アクセルとブレーキの踏み間違いをしない為の対策
アクセルとブレーキを踏み間違えないためにはいくつかの方法が考えられます。
➀ 運転の基本に戻る
運転歴が長くなればなるほど、運転に慣れてしまい基本的な操作を忘れてしまいがちです。
停車時はギアをP(パーキング)にセットし、発進は周囲を確認する、走行時は車間距離を取る、といった基本操作をきちんと行うことです。
➁ クリープ現象を利用する
ギアをドライブレンジに入れるとゆっくりと動き出す「クリープ現象」を利用し、徐々にアクセルを踏み込む。
➂ 左足でブレーキを踏まない
法律では左足でブレーキを踏んでも問題はありませんが、慣れていないのであれば、ブレーキは右足で踏み込むようにする。
➃ MT車に乗り換える
マニュアル車では左足でクラッチを踏まなければギアが入らず前進や後退での踏み間違いは生じません。(多くの場合はアクセルとブレーキを踏み間違えて急加速させる前にエンストするので事故を防げます)
➄ 踏み間違い防止装置を取り付ける
これはアクセルとブレーキが一つになったペダルです。
このペダルでは、アクセルを踏み込むと常にブレーキペダルを踏み込んだことになっています。アクセルを強く踏み込むと踏み込み状態が自動的にキャンセルされ、ブレーキを踏んだ状態になり暴走を防ぐことができます。
➅ 踏み間違い防止システムの車を選ぶ
最近では、「踏み間違い防止システム」を搭載した車種も多く発売されており、アクセルとブレーキを踏み間違えてもぶつからないような装置が搭載されています。
➇ 運転免許証を自主返納する
地方において車がなければ買物にも行けなかったり、生活上どうしても車を手放せない場合は致し方ありません。
しかし、交通網も発達した都会においては、70歳あるいは後期高齢者(75歳)前には運転免許証を自主返納し、公共交通機関を利用するのも事故を起こさない対策と思われます。
どうしても、自身の都合上車を運転しなければならない、あるいは都会で生活していてもどうしても車を手放したくないあなた。
自分の判断能力を過信しないでください。そして、自身と周りの人の安全の為にも自分自身に対策を講じましょう。
高齢者の事故率は減っている
ここまで高齢者ドライバーの事を「早く免許を自主返納しろ!」みたいな書き方をしてきましたが、実は高齢ドライバーの事故率は非高齢者ドライバーに比べて減ってきていることが統計からわかっています。
こちらのサイト様で詳しく報じられています。➔ 実は「暴走老人による死亡事故」は激減していたcheck
では、何故?高齢者ドライバーの事故がクローズアップされるのか?
原因は社会問題として大きく取り上げられ、高齢者ドライバーが事故を起こすとニュースで大きく報じられるようになってしまったからだろう。
そもそも日本の高齢者の割合が増えているので高齢者ドライバーも他の世代に比べて増えている。
高齢者の介護、交通事故などがニュースで報じられることが多くなったのは、日本の高齢者の人口割合が増えていることを物語っています。
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