運送業者は全国をトラックで結ぶことにより、日本の運送インフラを担っています。
規模の大小は異なっていますが、どの運送会社も全国に中継センターや営業所を設けています。
我が国の物流が整備され充実しているのも、運送業者のおかげであることは言うまでもありません。その一方では運送業界の次の一手を見据えた戦略も見られます。
運送業界のけん引役でもあるヤマト運輸は将来を見据え、「空飛ぶクロネコ」の開発に着手しました。
こちらのサイト様で詳しく報じられています(画像付き)➔ 「空飛ぶクロネコ」サービスを2025年までに実現! ヤマト運輸がベル社とeVTOLを共同開発check
空飛ぶクロネコとは、まさにその名の通り「空を飛ぶ物流」です。
これまでは、技術やコスト、安全面など様々な条件から空を飛ばして配達することは出来ませんでした。また、空輸するにもコストが掛かり過ぎる現状があります。 航空機の料金を見れば一目瞭然です。
しかし、ドローンの登場により、空を飛ばしての物流が現実的なものになりました。
ドローンも人間ほどの重さを運ぶとなるとそれなりの技術が求められますし、安全性の問題もあります。しかし、重量が重くない荷物を運ぶとなれば状況は違ってきます。
まさにそのドローンを使って無人で空を飛んでお客様の元まで荷物を届けようという実験です。
空飛ぶ配達の具体的なビジョンは?
「空飛ぶ配達」の概念は、ドローンと飛行機の中間のサイズになりそうです。最大積載量はおよそ450キログラム、時速160キロの速度で無人で空中を移動させるというものです。
この位の規模ともなれば、開発、導入にあたって生半可なコストでは済みません。
無事導入することができ、開発ノウハウが蓄積された結果コストの低減が可能になれば、文字通り「物流が変わる」と言っても過言ではありません。
ドローンによる配達にはいくつかのメリットがあります。
まずは単純に人手不足を解消することができます。
我が国では今や全国規模で人手不足が進んでいます。その中でも物流業界の人手不足の深刻度合いは国内産業でもトップクラスといえます。
近年、運送、物流業に於いて余剰人員がある企業は稀です。 どこの企業も人材の確保に悩まされているとともに人手不足改善の糸口さえ見えていません。
「ここ何年か踏ん張れば何とかなる」というレベルではなく、今後も人手不足は更に加速すると思われます。
もしもドローンでの空中配達が実用化されれば、人手不足解消の切り札となることは言うまでもありません。
山間部の過疎地への配達の可能性
現在、都心部や繁華街ではキャリーや自転車での配達も見受けられますが、基本的にはどのエリアもトラックで配達しています。
道路が舗装されているエリアであれば問題ありませんが、山間部や旧市街のようにトラックでの配達が困難なエリアもあります。
例えば京都市内にもトラックが入り込めない狭い路地が多くあります。
京都のような市街地であれば自転車やキャリーでの配達でも良いのですが、問題は山間部です。
トラックが入り込めない狭い道があり山間部では個人宅が点在しているため、1件配達するのにも大変な労力と時間をかけなければならない地域があります。
このような地域でドローン配送の活躍が期待されています。
緊急事態でドローンが活躍
現在では全国で道路網が整備されていますので上記の山間部のような一部地域を除けば、トラックでの配達が主流になっています。
舗装されていない砂利道を走らなければならない、といったシチュエーションはめったにありません。
しかし、災害が発生すれば話は別です。被災した場合、道路が寸断され平常通りの通行はできません。
特に日本は地震、大雨などの災害が多い国です。
エリアを問わず、いつ何処で何が起きても不思議ではありません。
現状の日本の物流は道路が寸断されればコンビニやスーパーまでのトラック輸送が出来なくなり被災時に何よりも必要な水と食料の供給が止まってしまいます。
しかし、この問題もドローンでの配達が可能になれば道路が寸断されてトラックが走れなくても、水や食料を消費者に供給することが出来ます。
空飛ぶクロネコの実用化は?
ヤマト運輸のドローンによる配達の実用化は2025年を目指しているとのことです。あと6~7年で空飛ぶクロネコが実用化されるということです。
このような攻めの姿勢を持った研究、開発姿勢は物流最大手ヤマトホールディングスならではと言えます。
大企業でありながら既存の環境に満足せず、むしろ将来を見据えたアグレッシブな投資はヤマトホールディングスらしいものです。
もちろん、途中で頓挫しないという保証はありませんが、何もしなければ運送業界が抱えている人手不足問題は解決できません。
物流、運送業界のみならず日本が人手不足の問題に直面しているからこそ、政府も空飛ぶ配達への法改正に真剣に取り組むようになりヤマトホールディングスはビジネス面でも採算が摂れる目途が立ったことでのプレス発表という経緯です。
ヤマト運輸の空飛ぶクロネコプロジェクトは運送、物流業界のみならず様々な業界から注目を集めています。
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