佐川をかたるSMSは運送業界にとって考えさせられる「シグナル」だ

運送業界にとっては少々気がかりなニュースを耳にした。

 

何でも、佐川急便を装ったSMS(ショートメッセージ)が出回っているとのこと。

 

SMSには佐川急便の偽サイトのURLが記載されており、アクセスしてしまうと電話番号を乗っ取られ、自分の知らないところで迷惑メールを送る側になってしまう模様。

 

佐川も不審なSMSは開かないよう注意を呼び掛けている。

 

 

運送会社の信頼性が利用された

 

 

佐川やヤマトなど、大手運送会社は民間企業ではあるものの、社会インフラの一翼を担っている企業でもあるだけに、信頼感も高い。

 

従業員の労働環境は別問題として、実情を知らない人々からすれば「信頼できる大企業」であるのは間違いないだろう。

 

そのような特徴は詐欺師側も理解しているからこそ、このような詐欺行為を思いついたのは容易に想像できる。

 

SMSの内容も

 

 

「お客様宛にお荷物のお届けにあがりましたが不在の為持ち帰りました。配送物は下記よりご確認ください。」

 

 

とあり、さらにはアドレスが明記されていれば、多くの人が何気なくアドレスをタップしてしまうのではないか。

 

 

性善説からの脱却が求められる時期なのかもしれない

 

佐川に限らず、日本国内の産業を見ると「性善説」によって成り立っているものも珍しくない。

 

例えば宅配便の場合、いわばアポなしで届け先まで伺うことになる。

 

少々前に宅配便には必ず居留守を使うとSNSに投稿して炎上した件もあったが、運送会社側がアポなしで押しかけている以上、いくら家にいても都合が悪い人もいるだろう。

 

だが、運送会社側からすれば「持ってきたんだから」という理屈もある。

 

「持ってきたんだから出てよ」という、いわば暗黙の了解だが、これはいわば「運送会社が荷物を持ってきたらお客は出てくるのは当たり前」との性善説…というか、「協力して当たり前」的な理屈がそこにある。

 

いつか話題にした配達時の路上駐車もそうだ。

 

「配達しているから多少は大目に見てもらいたい」との思いは、口にこそ出せない時代になってしまったものの、どの運送会社とて心の奥底には秘めていることだろう。

 

 

善意に付け込むのが詐欺師グループ

 

今回の件に関して佐川は「安易にURLにアクセスしないように」とアナウンスしているものの、そもそも荷物はいつ届くか分からない特性もある。

 

自らネット通販やオークション等で購入したものであればいつ届くか凡その見当はつくだろう。

 

だが相手がサプライズ的に贈り物をしたり、あるいは懸賞の当選など、予期せぬ形で送られてくる荷物もある。

 

 

そうすると、結局このような事件を防ぐためには「配達前の連絡の義務化」しかないのではないか。

 

配達前に「送りますよ」と伝えておけば荷物が来ることが分かる。

 

だが、仮にもしもそのような制度ができれば運送会社の負担が更に大きなものになるのは言うまでもない。

 

一部の人間が足を引っ張るという構図

 

制度化というのはまだまだ仮定の話だが、この手の「一部の人間のおかげで全体が迷惑を被る」ケースは珍しくはない。

 

つまるところ、それまではモラルによって成り立っていたものが崩壊しているのだ。

 

それだけ詐欺師が巧妙になっているとも言えるし、詐欺師が活発にならざるを得ない社会情勢とも言えるだろう。

 

しかし、今回の件はより真剣に考えなければならない。

 

なぜなら、運送業界は詐欺師側から見て「隙だらけ」だからだ。

 

アナログな部分とモラルに委ねている所が狙われる

 

詐欺師たちの傾向としてまだまだアナログで、さらにはモラルに委ねているようなことは狙いやすいだろう。

 

だが、「運送」という手法そのものが人と人との受け渡しなのでどうしてもアナログにならざるを得ない。

 

ここで具体的なことを言うと詐欺師たちにヒントを与えてしまいかねないので自粛するが、運送業者の業務に対し、付けこもうと思えばいくらでも付け込めるのが運送業界のお仕事だ。

 

ジレンマの深い問題

 

はっきり言って、この手の問題はいたちごっこだろう。

 

対策を講じても結局その対策を破る詐欺師が登場し、さらなる対策を求められる。

 

それでもまた…というジレンマがある。

 

一方で佐川にせよヤマトにせよ、社会インフラとしての役割を担っている以上、「何も対策はしません」では許されないだろう。

 

厄介な問題ではあるが、この問題を機に、運送会社として今後どうあるべきなのかを考えるべきだろう。

 

些細なことで炎上騒動に発展するほどデリケートな今の時代は、詐欺師のみならず、配送先が急にクレーマーになることさえ珍しくない。

 

従業員教育は今でもしっかりと行われているのは分かっているが、その従業員教育もデジタル時代に合わせたものが求められるだろう。

 

創業時に作成したマニュアルのつぎはぎではなく、今の時代にもマッチしている新しい教育のフォーマットが必要になってきている。

 

とはいえ、従業員教育だけでは限界があるのも事実だ。

 

この手の問題は一人でも多くの人が「こうしたことがある」と知り、一人一人が意識することで巧妙な手口に引っかからないようにしなければならない。

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