【コンビニのフランチャイズ本部と加盟店が衝突する理由】「24時間営業」「見切り販売」「ドミナント戦略」

コンビニは本部が直接経営する「直営店」とフランチャイズオーナーが経営する「加盟店」に分類される。

今回はフランチャイズ(FC)加盟店の実情についてお話致します。

一般的な話になりますが、物流、流通業に従事している人は興味深い話だと思いますので

かる~い気持ちで読んでいただければ幸いです。

コンビニの現状

1974年(昭和49年)セブンイレブンが東京都江東区豊洲に1号店を開店して以来、国内のコンビニ業界は飛躍的に発展しました。

近年の特徴としては、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3強時代と言われ、4位以下との格差が大きくなっています。

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の2018年1月~12月の統計によれば、コンビニ店舗数は全国に55,743、売上高は10兆9,646億円で前年対比2.6%のプラスでした。

フランチャイズ(FC)の意味

フランチャイズという言葉はアメリカが発祥で、「人や会社などに特権(一手販売権)を与える」ことを意味します。

特権を与える側を「フランチャイザー」(本部)、与えられる側を「フランチャイジー」(加盟店)と呼びます。

FCの特権の内容とその仕組み

本部は加盟店に対し、以下の「フランチャイズ・パッケージ」を提供します。

・ 本部の商標 サービスマーク、チェーンの名称を使用する権利

・ 本部が開発した商品、サービス、情報などのノウハウを利用する権利

・ 本部が加盟店に対して行う指導や援助を受ける権利

加盟店は本部に対して、上記パッケージに対する対価を支払う。

・ 加盟するための加盟金

・ 毎月売上に応じたロイヤリティ

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FCシステムのメリット

FCシステムとは本部と加盟店双方が事業運営において不足する部分を補うというメリットがあります。

本部は土地などの提供を受け、それに対し加盟店は以下のメリットを享受することができる。

・ 小資本で開業できる

・ 本部の商標やサービスマークを使用できる(広告、宣伝の必要がない)

・ 仕入れの心配が無い

・ 本部が蓄積した経営の情報やノウハウを利用できる

・ 独立した事業主として営業できる

コンビニFCの問題点

コンビニFCには上記のようなメリットがある反面、特に最近になって問題点もクローズアップされている。

コンビニ加盟店のオーナーは、以下のような問題に直面している。

・ 24時間営業の在り方

・ 見切り販売

・ ドミナント戦略

などが問題となり、公正取引委員会が実態調査の検討を始めた。

公正取引委員会の指針

公正取引委員会は2002年に、「加盟店に不利益を与えたり、加盟店のみを不当に拘束するものであってはならない」と明記した指針を策定している。

2019年4月には、公取委の杉本和行委員長が国会において「正常な商習慣に照らして不当に加盟店に不利益を与える場合、優越的地位の濫用として独禁法違反となる場合がある」と答弁している。

24時間営業

2019年2月、東大阪市のセブンイレブン加盟店が夜間短縮営業を始めたことに対し、本部が1,700万円の違約金を求めた。

これがきっかけで、全国の加盟店から24時間営業の是非についての意見が相次ぎ、公正取引委員会が乗り出したものである。

24時間営業の問題点については、こちらのサイト様が詳細に解説されています。➔ 24時間営業やめた大阪のセブンイレブン、メディアに取り上げられるまでに本部と何があったのか?check

コンビニ大手の本部としては、24時間営業を継続する姿勢は崩していない。

加盟店に対しては、24時間営業の見返りとして以下のような奨励金を提示している。

・ セブンイレブン ロイヤリティ2%減

・ ファミリーマート 月10万円(近々に3,000増の予定)

・ ローソン ロイヤリティ3%減

見切り販売

「見切り販売」とは弁当など期限切れが迫った商品を値引きすること。

2009年には、加盟店の見切り販売を不当に制限したとして、セブンイレブン本部の独禁法違反を認定している。

コンビニの会計は、売れ残りの商品は加盟店のオーナーが買い取るシステムになっている。

従って値引き販売も出来ずに売れ残り商品を廃棄すれば、店側の負担になってしまう。

そこで、店としては、値引き販売をすることで廃棄ロスを最小限に食い止めようと考える。

現時点では、FCが売れ残り商品を廃棄すればするほど本部が儲かる仕組みになっている。

ドミナント戦略

本部が加盟店舗の意向を無視して地域に集中して出店することで、独禁法違反になる可能性があるとして公正取引委員会が調査している。

あるオーナーは、最近になって自店の近くに同じチェーン店が出店して、売上で1日10万円減少した、と証言している。

他業種のフランチャイズ契約においては、通常、近隣に出店することは禁止にしていることが多い。

セブンイレブン本部のドミナント戦略は、この事例と相反することで、加盟店にしてみれば、身内から近隣に競合店を出店される、という最悪の事態になっている。

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コンビニ業界の今後

「24時間営業」「銀行、信用金庫のATM設置」「公共料金の収納代行サービス」など一般消費者にとっては便利で有難いサービスを提供してくれるコンビニ。

セブンイレブンは半世紀に亘り急成長を遂げてきたが、本部のみが利益を享受し、加盟店が不利益を被る構図は早急に改善されなければならない、と思う。

一般消費者にとって、日本全国全ての地域でコンビニは24時間営業である必要があるのだろうか?

コンビニが近くにいくつもある必要があるのだろうか?

賞味期限切れ近くの食品は値引きしてもいいのではないだろうか?

コンビニ業界は、こうした問題点を再考しなければならない。

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