【ジャパンタクシーに個人情報保護委員会から行政指導】広告配信用タブレットで乗客を無断撮影

ジャパンタクシーが2018年11月末に、政府の個人情報保護委員会から行政指導を受けていたことが判明した。

 

今回は、当該行政指導の内容及びジャパンタクシーの実態などについて切り込んで行く。

 

行政指導に至る経緯

 

そもそもジャパンタクシーが同委員会から行政指導を受けなければならなかった理由は何だったのだろうか? 

 

今回問題とされたのは、タクシー車内に設置されている広告配信用タブレットのカメラで乗客を無断で撮影し、その性別を推定していたことである。タブレットは推定した性別に合わせた広告を配信する仕組みになっている。

 

同委員会は「カメラの存在やその利用目的の通知・公表が不十分である」として改善を求めたものである。

 

性別に合わせた広告を配信すること自体にも疑問を抱かざるを得ない。例えば「LGBT(同性愛者)」の人にとっては問題になる可能性もある。

 

男性が女装したり、女性が男装をしている場合、カメラはそこまで判定できるのだろうか。いやそれよりも性別の判定をすること自体が問題視され、また時代遅れではなかろうか?

 

最近では、女性用の化粧品のコマーシャルに男性が登場しているのも見かける。

 

しかし、それ以前に「乗客を無断で撮影する」行為そのものが問題視されるのではなかろうか? 同社では「端末のバッファ上で推定処理を行った後に破棄し、端末やネットワーク・システム上にも保存していないと釈明しているそうである。

 

同社では今回の指導を受け、4月よりタブレット上で乗客に説明を行うとしているが、写真撮影を断ることができるのであろうか?

 

広告とは会社側が勝手に見せるものであり、乗客が希望して見るものではない。タクシー車内で積極的に広告を見たいと思う乗客はいるのだろうか?

 

使用に関する説明を行うとしているが、説明に納得しない乗客に対してはどう対処するのだろうか?

 

ジャパンタクシーとは

 

ジャパンタクシーとは、トヨタ自動車が2017年10月23日に発売した新型タクシー車両のこと。コンパクトミニバンの2代目である「シェンタ」をベースに開発された。

 

最新のジャパンタクシーは、開口部を大きくした電動スライディングドアを採用し、後部座席を広くするなどの工夫がなされている。クルマ椅子利用者・高齢者・外国人旅行者などにも快適に利用してもらえることを意識したデザインになっている。

 

国土交通省が推奨する「ユニバーサル・デザイン・タクシー」としても認定されている。

 

ジャパンタクシーの問題点

 

良いことだらけのジャパンタクシーには見えるが、大きな問題点が指摘されている。

 

それは、クルマ椅子の団体が1万件以上の署名を集め、ジャパンタクシーのクルマ椅子の乗降りに不便な構造を改善するようトヨタ自動車に要求書を提出したことである。

こちらの記事も参考にして下さい➔ 【ユニバーサルデザイン認定のジャパンタクシーにクレーム】車いす団体がトヨタ自動車に改善要求check

 

一番の問題は、クルマ椅子を乗せるまでの手順が複雑で時間がかかり、15分から20分近くかかってしまうことだ。手慣れた人でもおよそ10分、そうでない場合には20分以上もかかってしまう。それでも、クルマ椅子ごと乗車できればまだ良い。

 

この作業には時間もかかり面倒くさいと言う理由で、クルマ椅子の乗客を「乗車拒否」するドライバーもいたというのである。

 

❑トヨタ自動車のその後の対応

 

2017年に10月に発売されたジャパンタクシーはすでに1万台以上になっている。トヨタ自動車はこうした要求に対し、車両のリニューアルを敢行し、2019年3月にそれを発売した。

 

クルマ椅子のユーザーのみならずタクシードライバーからの不評に対応し、クルマ椅子の乗車時に使用するスロープや、クルマ椅子の固定ベルトなどの見直しを行ったとのことである。

 

大きな改良点は以下の4点である。

 

【3月以降販売車向け】

 

1:スロープ1を3枚折から2枚折に変更

2:スロープ2を折り畳み構造から、樹脂製の1体型に変更

3:収納袋に入っていたクルマ椅子用固定ベルトをフロアに常設した

4:作業手順を目立つ場所にラベルにして貼り付けた

 

【既販売車向け】

 

1:スロープ1の固定ベルトをつなぐかカラビナを提供

2:スロープ2の足を組み立て式からスライド式に変更

3:クルマ椅子固定ベルトなどをリアフロアに設置した収納ポケットに収納した

4:作業手順を目立つ場所にラベルにして貼り付けた

 

<カラビナ>登山用具の1つ。一部が開閉できる金属製の輪。ハーケンなどとザイルを結ぶのに用いる。

 

これらの改善を実際に体験した方の感想によれば、クルマ椅子の乗降も簡素化され、所要時間もかなり改善されているとのことである。

 

「性別推定カメラ」の取り扱い

 

個人情報保護団体が改善を求めたとのことであるが、「乗客にカメラの存在やその利用目的の通知・公表を十分に行う」ことで解決できる問題であろうか。

 

乗客に一方的に通知することで、写真撮影をされ広告が配信される。そんなことをされるのであれば、ジャパンタクシーには乗りたくないという人も現れるのではなかろうか。

 

外国の観光客も果たして納得してくれるだろうか? 彼らは特にプライバシーや肖像権にも敏感であるといわれている。

 

クルマ椅子の問題が一段落したかと思えば、今度は「性別推定カメラ」の問題である。

 

タクシーは乗客を安全に目的地に送り届けるのが責務であるので、本末を転倒しないで欲しいと願うものである。

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