私が佐川急便に入社して2~3年経った頃、今でも記憶に残っている破損クレームがある。
私が集荷した荷物が受け人から「荷物が破損している」という連絡が佐川急便にあり、何故か?その破損した荷物(出荷人曰く貴重な高価な宝玉(時価30万円)の荷物の返却と賠償をしてくれ、という内容だった。
詐欺のような?要求をしたお客さんは、懇意にさせてもらっていた定期集荷先で月間の売り上げが5~10万円のお客さんだった。
日々の配達が250個平均、集荷が100個前後、という典型的な配達コースを担当していた私にとって月間売り上げが5~10万円のお客さんは神様みたいなお客さんだった。
当時の佐川急便はカスターマーサービス課(四半世紀前はカスタマーサービス課なんて言葉はなく「業務」と呼ばれていた)の質も今とは比べることも出来ないような低レベルで(お客様対応の教育を受けていない上に忙しすぎてやっつけ仕事)お客様から破損の連絡➔ お客様から請求書をもらう➔ 支払い、という方程式が簡単に成り立っていた。
お客様に自分が集荷した荷物の破損品を渡しに行く時?(お客様がごねると破損代金を支払った上に破損品をお客様にお返しするなんてこともあった)、貴重な高価な宝玉(時価30万円)を見て「これが30万? こんなの割れるか? 初めから割れてたんじゃね?」、というのが率直な感想だった。
佐川急便に入社して2~3年、社会人としての常識もないこの頃の私は会社に言われるがまま、お客様から請求書をもらっておしまい、という感じだった。
ただ、・・・自分が集荷した荷物が破損した、という汚名?と、集荷の際、荷物の中身を確認する➔ 適切な梱包をして保険加入をおススメする、という基本的な仕事が出来なかった、ということが悔しい上にお客さんの言いなりになっている状態に違和感があった。
詐欺のような要求をしたお客さんは数年後倒産して夜逃げ
詐欺のような要求をしたお客様は2~3年後、倒産してしまった。
倒産?というか、前日まで通常通り集荷に行って、夕方集荷に行ったらもぬけの殻になっていた。
前日の夕方まで集荷に行っていたのだから夜逃げということだろう。
そして、懇意にさせてもらっていたお客さんは定期集荷先で月極めの得意先だから集荷の代金が回収できない、という事態に陥ってしまった。
この頃(バブルが弾けて5年後くらい)全国の佐川急便で会社が倒産して集荷の代金が回収できない、という事案が立て続けに発生していた。
佐川急便の全国通達で「得意先のお客様に不穏な点(突然、配達や集荷が増えた、会社の従業員が激減した)があった場合、直ぐに報告するように」と、言われていた矢先の夜逃げだったから係長や課長にあれやこれや事情聴取された。
「一度ならず二度までも面倒かけやがって」と、いうのが本音だった。
しかし、後々考えると佐川急便を通して世の中の勉強をさせてもらった。
世の中がどう動いていて会社を経営するということがどんなリスクがあり、佐川急便の仕事は集荷、配達、集金、物販、お客様管理まで多義にわたる、ということを教えてくれたお客様でもあった。
荷物の破損が起きた際、何処に責任があるのか?
ここからの話は荷物の破損が起きた際、何処に責任があるのか?ということを検証した一般論を運送経験のない執筆者に代筆してもらいました。参考までにお読みください。
宅配荷物を受け取ってみたら、箱が凸凹になっていたり、キズが付いていたりした経験を持つ人は数多くいるはずです。
中身が衣類のようなモノであれば、外箱の凸凹やキズくらいでは問題にならないでしょうが、家電製品や精密機器などであったら、中身が大いに心配になるところです。
今回は、宅配業界の荷物の取り扱いに焦点を当て、その責任の所在や問題点などに切り込んで行きます。
配送荷物が受取人に届くまでにはそれなりの順番があります。宅配業界の荷物の取り扱いに係るトラブルやクレームは例を挙げれば切りがないほど巷に溢れています。
その原因が差出人にある場合、配送センターの仕分けにある場合そして配達員の取り扱いにある場合があります。
出荷人
個人の場合と、アマゾンや楽天のような通販業者の場合があります。個人の場合には、梱包にも慣れていない為、多少のことは許容範囲です。
問題は通販業者です。プロなんだから、中身に応じた梱包をするのが当然でしょう。
精密機器や家電製品などの場合は、緩衝材を入れるなどしっかりと梱包し「精密機械」「取扱注意」や「天地無用」などのスティッカーを貼るのが基本中の基本です。
これができていなければ、配送センターや配達員の責任を問うことはできません。(一般的には出荷人が取り扱い注意のシールを貼らなくて荷物が破損しても運送会社の責任になるケースが多いです。上下関係でいえば運送会社より出荷人の方が立場が上だからです)
配送センター
通販業者が注意喚起のシールを貼ったとしても、配送センターで荷物を指示通りに扱わず、投げたり上積みしたりすれば元も子もありません。
ネット上の書き込みなど信用したくはありませんが、こんな書き込みを見たことがあります。
「注意書きのシールなんて関係ない!急いでいるのでいちいちかまっちゃいられない。荷物は投げるよ。どうせ会社は保険に入っているんだから何かあったら保険で弁償すればいい」。
この書き込みが本当なのか、どこの会社の社員なのか知りたいところです。でも何となく真実味があるのではないでしょうか?
配達員
出荷人(メーカーや通販業者)の梱包不足や配送センターの粗雑な取り扱いにより既に外箱が凸凹になっていたり、キズがついている荷物を配達する配達員は悲劇です、
これについては、配達員は配送センターで荷物を積み込む前に配送センターの責任者に荷物が破損している可能性があることを伝え、出荷人に荷物の破損状況を伝え出荷人の判断を仰いで配送しないと、全て配達員の責任になりかねません。
しかし、通販業者が基本通りに梱包し、配送センターも荷物の取り扱いに十分注意し、最終的に配達員に託された荷物を配達員が粗雑な取り扱いをすることもあります。
荷物の取り扱いに関するクレーム
荷物を受け取る人は、梱包がどうのこうのというよりも、中身の事を心配しています。外箱が凸凹だったりキズ付いたりしていれば、中身が無事かどうかが心配です。
何処かで荷物が投げられた為に凸凹になったのか?上に重い物を乗せられたからそうなったのか?が問題です。
クレームその1
「高額の精密機器を購入した際、外箱の数カ所に凸凹と穴ができていた。箱には確かに「精密機械、取扱注意」のシールが貼ってあった。
中身が心配だったので、販売者に返品して精密機器の検査をしてもらい、問題がないことを確認後再度送ってもらった」
クレームその2
「アマゾンである商品を購入した。届いた荷物はキズだらけでおまけに何故だかびしょびしょに濡れていた」
クレームその3
「アマゾンで電化製品を購入した。「この面が上です」というシールが貼ってあったが、配達員はそれを無視して横にして持ってきた。配送トラックにも横に積まれていた可能性があるので、中身が心配だ」
原因の究明
出荷人の梱包が原因なのか?配送センターの取り扱いに問題があったのか?配達員の取り扱いに問題があったのか?その原因を追究するのは容易ではありません。
外箱にキズがあるとか、凸凹だとかが問題なのではありません。中身さえ問題がなければどうせ外箱は廃棄処分をするものです。
中身を守るための梱包がなされていたかどうかが問われます。
中身が安全であるかどうかの確認ができない場合は、出荷人に荷物を差し戻すことも考えるべきでしょう。(2020年1月5日改訂)
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