今回は、典型的なハラスメントと言われるセクシャル・ハラスメント(セクハラ)について解説します。
ハラスメントの種類
筆者が調査したところによれば、ハラスメントには48種類ありました。
調査は1年ほど前でしたので、今では新たなハラスメントが登場しているかも知れません。
その中でも身近なものをいくつかご紹介しましょう。
アルコール・ハラスメント(アルハラ)
飲酒の強要や強制する行為。
「俺の酒が飲めねーのか!」「付き合いの酒も仕事のうちなんだから飲め!」という行為。
エイジ・ハラスメント(エイハラ)
本来は中高年の社員に年齢に関して嫌がらせを行う行為。
最近は家庭内での父親や介護施設の利用者である高齢者に対する嫌がらせにも適用されるようになっています。
「もう齢なのにまだ平社員」「もう齢なんだから無理しないで!」
カラオケ・ハラスメント(カラハラ)
カラオケの場において、歌いたくない者に対して歌うことを強要する行為。
余り耳にしないものもあります。
終われハラスメント(オワハラ)
就職活動の場において、企業側が学生に対し、「内定を出すから就職活動を終了しろ!」などと強要したり圧力をかけたりする行為。
ゼクシャル・ハラスメント(ゼクハラ)
結婚やお見合いなどの強要や圧力をかける行為。主として、親や兄弟間で発生するが、上司が部下の女性に、女性が男性に強要する場合にも該当する。
ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)
何かにつけてやたらに「ハラスメントだ!」と言ってくる行為そのものがハラスメントだというハラスメント。
セクハラのパターン
1 性的な言動の例
・ セクハラで問題にされる言動には典型的なパターンがあります。
性的な発言
・ 性的な情報を意図的に流布させる→「あいつDカップなんだって」
性的な行動
・ 性的な関係の強要→「俺と付き合えよ」などと交際を強要
・ 必要なく体に触る→胸、腰、尻など身体に触る
・ 猥褻な図画の配布→PCにエロサイトの画面を表示
2.労働条件に不利益を受けた例
・ 会社で上司から告白され付き合うように言われたが、拒否したところ会社を解雇された。
・ 出張中に上司から胸、腰などに触られたので抗議したところ、配置転換された。
・ 会社の上司から「巨乳ババア」などとからかわれたので抗議したところ、降格された。
・ 会社で男性社員がエロサイト画面を表示したまま離籍するのが常態化しているので、会議の席で問題にしたところ減給された。
セクハラの事例
セクハラには数限りない事例がありますが、ここにご紹介する事例は、人事院の「セクシャル・ハラスメントの手引き」を参考にしました。
事例1 男性上司
男性上司に帰宅途中で後をつけられたり、自宅に押し掛けられたりするなどのセクハラ行為を受けたので、同僚の男性に相談しました。
その結果、醜聞として吹聴され社内でも孤立してしまいました。
そのため、精神的にも追い詰められ、今では精神科の治療を受けています。
事例2 エレバーター内
朝、エレベータの中で他の男性課員と2人きりになったとき、後ろから抱きつかれました。
終日そのことが頭から離れず、仕事も手に付かない状態になり早退しました。
その後は、1人でその課に行くのが怖くなりました。
事例3 アフターファイブ
アフターファイブに職場の先輩から仕事のことで話がしたいのと飲食に誘われ、断り切れずに居酒屋に同行しました。
本当は仕事の話などではなく、酒の勢いを借りて告白されました。
全く私は興味が無い人だったので、お断りしました。
次の日からは気まずい雰囲気になり、相手と話をするのも苦痛で、仕事にも支障が出てきています。
朝の出勤途中に帰宅したくなるような日々が続いています。
事例4 酒の席
酒の席で同僚の男性が突然大きな声で、「あんた昨日は生理休暇取ったよな~」と言われました。
「それってセクハラじゃないんですか」と言い返したところ、次の日から一切話しかけてこなくなりました。毎日仕事がやりづらいです。
事例5 仕事中のセクハラ発言
上司から「可愛いね。綺麗だ。食べちゃいたい」などと仕事中に連発され、食事にも誘われました。
誘いは断り続け距離も置くようにしました。
すると、仕事中に「上司に向かってその態度は何だ!少しは考えてみろ」と怒鳴られました。悔しくて涙が出ました。
事例6 上司からの誘い
直接指導を受けている上司から1対1で食事に誘われました。
仕事を教えてもらっているので、それに応じていたところ、ある日、身体に触られました。
そのため、次の誘いを断ったところ、職場の同僚たちの前で、批判したりからかったりするようになりました。
毎日の出勤が苦痛になりました。
事例7 職場での言動
職場で「オバサン」と呼んだり、短めのスカートや流行の服を着ていたりすると、「年甲斐もなく若い恰好をして」などと言います。
注意をすると「コミュニケーションの一環で言っているのに、それならばお前とはもう話をしない」などと言われました。
自分はとても傷ついているのに、上司は左程深刻に考えていないようです。
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