まさに「嵐」のような時間だったのではないでしょうか。
「100億円あげちゃうキャンペーン」と銘打ち、12月4日から行われていた新規スマートフォン決済サービス、「PayPay」は12月13日をもって還元額が100億円に到達したとのことで無事に終了。
サービスを提供するsoftbank、Yahoo!としては100億円は「広告費」であると共に乱立するスマートフォン決済にて主導権を握りたいとの思惑があるのでしょう。
購入金額の20%還元、さらには数十人に一人は高級金額全額キャッシュバックとあってPayPayを利用できるお店では連日多くの人で賑わいました。
しかし、そこからはいろいろときな臭い話も聞こえ始めています。
甘すぎるセキュリティの問題
13日にて終了して以降、まるで堰を切ったかのように問題が取り沙汰されていますが、その中でもより深刻な問題といえばクレジットカード不正問題です。
PayPay登録者から、「PayPayに登録したクレジットカードが不正利用されている」といった声が続出しています。
この問題の背景にあるのはPayPayの甘すぎるセキュリティの問題です。
近年、クレジットカードの不正利用はどの企業も敏感です。
スマートフォンに搭載されている指紋認証や顔認証も、決して利用者を驚かせたいだけではなく、個人情報の不正利用を防ぐための技術です。
しかし、PayPayではクレジットカードの登録の際の打ち間違いでロックがかからなかった模様。
クレジットカードを利用、あるいは登録する際、例えばお店でクレジットカードで買物して暗証番号を入力する際、指定回数間違えるとそのクレジットカードはクレジットカード会社が「怪しい」として利用できないようロックをかけてしまいます。
しかしPayPayはこれが備わっていなかったため、何度でもクレジットカードの登録ミスができた模様。
つまり、PayPayに登録する際、他人の…というよりも適当にクレジットカード番号を入力し、エラーが出ない「誰かが使っているであろうクレジットカード番号」を登録することができたという話です。
他のサービスで同じことを試そうと思えば番号ミスの回数が多ければアプリ側で何かしらの対処を行いますが、PayPayにはそれがなかったと。
どこかでみた「なりふり構わない普及促進策」
技術的な欠陥と言わざるを得ないロックがかからない問題は、softbank・Yahoo!が「なりふり構わず普及を目指した」ことの裏返しでもあります。
「100億円」という数字ばかりに注目されがちですが、技術的な問題、あるいはサービス開始当初も用意ができていなかった…といった問題もあったものの、とにかく「100億円還元」を謳い、まさにバラまきをして利益よりもとにかく「自社のサービスの普及」を目指したこの姿勢は、2000年代前半に行われていたとある手法を彷彿とさせるものです。
それはADSLです。
あの時もYahoo!がルーターを無料で配布することで、自社のADSLサービスの利用者獲得の「囲い込み」を行いました。
結果、ADSLそのものが普及したのも事実です。
今回の「PayPay」も、まだまだ若い層やビジネスマン層といった一部にしか普及していないスマートフォン決済が広く普及する起爆剤になる可能性も秘めています。
しかし、時代も変わりました。
結果、softbankやYahoo!が予期していないことも起きています。
既に「過去の物」になりつつある?
20%還元がなくなれば通常のキャッシュレスサービスの一つでしかありません。
そのため、もはや「もう使っていない」との声さえ聞かれます。
現代の消費者はネットで徹底的に情報を収集し、得になる方法をいち早く見つけて利用すると共に、得にならない方法をいつまでも惰性で利用するようなことはしません。
ADSLであれば解約するのが面倒ですが、PayPayは使わなければ良いだけです。
100億円還元中であれば多少面倒でも「20%戻ってくるから」と利用しても、キャッシュバックがなくなれば「面倒」「クレジットカードの問題もあるし」など、デメリット面がクローズアップされることとなり、そっぽを向かれることになってしまっているのです。
「付け焼刃」「子供だまし」は通用しない時代
現代はADSLの普及時期とは異なり、誰もがネットに手軽にアクセスして情報を収集することができる時代になりました。
良いものなのか悪いものなのか「世間」の流れではなく、「自分」で調べることができます。
その点ではPayPayに限らず、どの産業に於いても子供だましのサービスはすぐに露呈してしまいます。
これはサービスだけではなく、クレーム対応等でも同様のことが言えます。
ヤマトや佐川のような大手物流にはクレームが毎日のように届けられます。
その際、「とりあえず謝っておけば良い」という姿勢では、今後は「あの会社は謝っているけどいい加減」との評判が生まれてしまいかねません。
クレームに対し、真摯に耳を傾けて改善すべき点は「表面処理」としてではなく、根本的な部分からの解決こそ求められる時代となっています。
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