運送業、観光業だけではなく、休日での運転、身内の送迎など、ハンドルを握る一般のドライバーにとって何よりも心掛けなくてはならないのが安全運転です。
ちょっとした油断や判断ミスが重大事故になりかねないことは今更説明する必要もないことでしょう。
運送業界としてはその点をよく分かっているからこそ、運送会社もドライバーに対して安全運転を心掛けるよう指導するだけではなく、体調管理の面からもサポートする会社が増えています。
当日は論外として、出勤前夜の飲酒を禁止している運送会社もあれば、毎日のようにドライバーに対して健康チェックを課している会社もあります。
睡眠時間、栄養など、一昔前であれば「ドライバー個人の判断」に委ねていたことまで会社としてチェックしているケースさえあります。
東名飲酒運転事故で運送会社に厳しい目が向けられてから自社のドライバーの事故には敏感になっています。それでも見抜けないようなある症状が事故との因果関係があるのではないか?と言われています。
2018年10月28日夜に横浜市西区の国道16号沿いで事故が起きました。
まだ記憶に新しいかと思いますが、この事故を起こして容疑者になってしまったドライバーは「睡眠時無呼吸症候群」が疑われています。
この他にも睡眠時無呼吸症候群が原因でドライバーが起こしてしまった事故は多く見受けられます。
一説にはこの症状を持つドライバーは他のドライバーと比べて事故を起こす確率が5倍になるとさえ言われています。
そして、この症状はとても厄介なものなのです。
なぜならこの病気は自覚が難しいため、まさか自分が睡眠時無呼吸症候群だとは思わない人が多いのです。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは「Sleep Apnea syndrome」の頭文字から「SAS」とも略されている症状で、睡眠時に呼吸が止まってしまう病気です。
医学的見地からは10秒以上気道の空気が止まってしまっている状態を無呼吸と定義しています。
一晩に30回、あるいは1時間あたり5回以上この症状が見られる場合には睡眠時無呼吸症候群に該当しますが、そもそも自分が睡眠中にどのような状態なのかは分かるはずもありません。
自分で症状を自覚できれば直ぐにでも治療が出来ますが、気付かないからこそ厄介な病気なのです。
しかし、睡眠時無呼吸症候群は日常生活の中で何らかの「シグナル」を発するものなので、何となく自分がそうではないか?と気付くことができるそうです。
睡眠時無呼吸症候群の日常生活での兆候とは?
まず、起きている時、常に「眠気やだるさ」があり、集中力も散漫で常に疲労を感じる。このような人はしっかりとした呼吸を伴う睡眠ができていない可能性があります。
また、寝起きの際に口が乾いていたり身体が重いなと感じる人もまた、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと言われています。
パートナーがいる場合、自分がいびきをかいていないのか?を確認してみるのもひとつの方法です。
いびきをかいていたのに、途中で急にいびきが止まったり、あるいはそこからさらにいびきをかきはじめる場合も睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと言われています。
睡眠時無呼吸症候群の原因
では、そもそも何故?睡眠時無呼吸症候群になるのでしょうか?
様々な説があるのですが、骨格など生まれ持ったものが起因しているケースもあります。また太り過ぎてしまって気道が他の人よりも狭くなって塞がってしまい、上手く呼吸ができなくなっている場合もあります。
肥満のため、首や喉廻りの脂肪が増大し、扁桃腺(へんとうせん)肥大によって気道が圧迫され、呼吸そのものに支障をきたすのです。
また、少数ではありますが脳から呼吸の指令が出なくなり、無呼吸となる場合もあるそうです。これは心臓の機能が低下してしまうことと因果関係があるのではないか?とされています。
睡眠時無呼吸症候群の予防と改善策
予防と改善策としてまず挙げられるのが適正体重の維持です。
太り過ぎが健康に良くないことは誰もが認知していることですが、睡眠にも悪影響を及ぼします。適正体重によって体型を維持するだけでも立派な予防策になります。
睡眠時無呼吸症候群について詳しく書かれているコチラの記事が参考になります。➔ 無呼吸なおそう.comcheck
また、お酒にも注意が必要です。
アルコールによって筋肉が緩んでしまうと、首や喉廻りなど呼吸を支えるための筋肉が緩み、睡眠時無呼吸症候群を招くこともあります。
お酒を飲んだ時にやたらといびきをかくのもそのためです。普段からお酒を飲むことが多い人はお酒の量を減らすだけでも予防になります。
他にも「口呼吸」から「鼻呼吸」に変えるだけでもリスク軽減になりますし、仰向けよりも横向きで寝た方が気道を確保できるとも言われています。
睡眠時無呼吸症候群なんて自分には関係ないと思うかもしれませんが、本人には自覚が難しいものなので、「もしかしたら自分も関係があるかもしれない」という危機感を持つことも大切です。
運送会社に勤務していて睡眠時無呼吸症候群が原因で運転中に睡魔に襲われれば、居眠り運転の大事故を起こしてしまう可能性があります。
日常生活で兆候がある人は専門医に相談するなど対策を講じる必要があります。
運送会社の運行管理者はドライバーにヒアリングをして睡眠時無呼吸症候群の危険性を周知し、危険性があるドライバーには病院での検査、治療を義務付けるべきだと思う。
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