【運送会社の再配達問題は解決出来るのか?】「宅配ボックスメーカーのフルタイムシステムが電柱に宅配ボックスを設置」

ヤマト運輸では個人宅荷物の増加と共に頭を悩ませているのが、受け人が不在だった時の問題だ。

一度の訪問で荷物を渡せればどれだけ楽か・・・毎日心の中でそのように呟いているドライバーは決して少なくはないだろう。

不在者に再配達をするということは、一つの荷物に対して倍の労力を使っていることになる。

最近はようやく不在の問題を多くの人々が認識するようになり、様々な形で不在者対策が行われるようになってきた。

ひょっとしたら不在の問題を大きく解決することになるかも知れない新しい試みが、ある地域で行われているのをご存じだろうか?

これにはヤマト運輸、佐川急便、そして関西電力が協力して取り組んでいる。

関西電力と聞いてピンと来た方が居るかも知れない。

そう、アレとは「電柱」のことだ。

電柱に宅配ロッカーを設置することで、不在問題の解決に一石を投じようという取り組みが行われている。(電柱吊宅配ロッカーサービス)

2018年11月1日から2019年3月中旬までの間で試験的な段階ではあるが、京都府精華町の電柱3本に大きな期待が寄せられている。

関電の管轄内にはおよそ270万本もの電柱がある。

電柱という利便性から電気の確保の心配も無い。

利用者は暗証番号や交通系のICカードを使用することで解錠し、荷物を受け取ることができるシステムだ。

スポンサーリンク

電柱に宅配ボックスを置くメリットは?

電柱に宅配ボックスを設置するメリットはいくつか考えられる。

まず、単純に電柱は新しく設置する必要がない。

宅配ボックスを用意するだけで良い。

また、電柱であれば街灯もあるので暗くて分からない・・・ということもないだろう。

千代田区に本社があるフルタイムシステム(世界で初めて宅配ボックスを開発した企業)の技術と関電が開催したビジネスコンテストのアイディアから実現したとのことである。

フルタイムシステムは再配達ゼロを目指す会社だというから運送業界に従事している我々にとって何とも頼もしい会社だ➔ フルタイムシステムcheck

もしこの京都府精華町での取り組みが上手く行けば、関西エリアのみならず、全国的な広がりを見せる可能性もある。

ドライバーが何度足を運んでも荷物を渡せないよりも、電柱であれ何であれ1度の配達で荷物の配送を完了できるのであればそれに越したことはない。

宅配ボックスのないマンションや一戸建てでも、電柱が荷物を預かってくれるとなれば、ドライバーの負担軽減になることは間違いない。

スポンサーリンク

宅配ボックスは実際に役立っているのか?

既に多くのマンションで宅配ボックスが導入されているが、マンションの敷地内ということもあり、場合によってはボックスのサイズが小さ過ぎるケースも珍しくない。

荷物の大きさによっては、宅配ボックスがあっても結局はドライバーが持ち帰り、再配達しなければならないことになる。

しかし、京都府精華町の電柱に設置された宅配ボックスはほぼ人間と同サイズだという。

マンションでは持ち帰らざるを得ないような多少大きな荷物も預けることが可能になっている。

スポンサーリンク

電柱に宅配ボックスを置くデメリットは?

もちろん一方ではデメリットもある。

まず、第一に挙げられるのが気象状況だろう。

マンションの宅配ボックスはエントランスに設置されていることが多いので天候など一切関係ないが、電柱に設置されている場合、当然だがボックスは野ざらし状態になる。

宅配ボックスの中に荷物があるのだから荷物は風雨に晒されることはないが、雨の日に電柱まで取りに行って帰りに荷物が濡れた場合、運送会社にクレームが来る可能性もある。

昨今のクレームはいつどこでどのような形で発生するか分からないだけに、新たなクレームの火種になるのは避けたいところである。

また、これは運送会社の問題ではないが自然災害が起きた時の補償だ。

電柱に入れた荷物が台風・地震といった自然災害で破損した場合、責任の所在がどこにあるのかが問われることになる。

運送会社側としては宅配ボックスに入れた時点で配達完了だが、お客様は荷物を受け取っていない。

このようなケースでの責任の所在をどのようにするのか?は、まだまだ議論が必要なのではないだろうか?

また、責任問題云々以前の問題として、電柱の設置そのものを無くそうという世界の流れに逆行しているのではないか?という問題もある。

無電柱化(電線の地中化)を分かり易く解説されている記事を見つけました。➔ 電線のない街づくり支援ネットワークcheck

京都などの観光地では電柱が景観の妨げになっているとして地中化が推進されている。

自然災害への対策という観点からも電線の地中化が進められる要因になっている。

2018年9月に関西を襲った台風により、コンクリートでできた電柱が倒壊した例もある。

電柱が倒れたエリアは停電を余儀なくされたが、仮に電柱を地中化していればこうした問題を防げることができたとする声もある。

つまり、これから電柱の地中化がより推進されていくことを考えると、電柱に宅配ボックスを設置するというアイディアは、遅きに失した感がある(手遅れである)ように思える。

どのような形であろうとも、社会全体がドライバーの負担を軽減するような方策を考えてくれることは運送業界にとっても有難いことに違いない。

これからも、通販の荷物は益々増大して行くことが予想されるだけに、電柱への宅配ボックス設置だけではなく、更なるアイディアを期待したいものである。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です