AIタクシーとは「AI(人口知能)を使い、未来のタクシー需要予測の情報を配信するサービス」のこと。即ち、現在から30分後までのタクシー乗車需要を予測し、そのデータをオンラインで配信するサービスです。
これによりタクシードライバーは空車での走行を減らすことができ、利用者はタクシーをつかまえやすくなるという。
これは停滞するタクシー業界のみならず、利用者にとっても便利になる革新的な技術といえる。今回は、このAIタクシーについて詳しく紹介しながら解説します。
AIタクシーは、スマートフォンの情報から人の流れ、過去の乗車実績、天気予報などを基にして、30分後の需要を地域別に把握します。
乗車需要の予測には、上記に加え、NTTドコモが基地局を通じて集める携帯電話利用者の位置情報が使用される。匿名の携帯電話利用者の街中での動きがデータ化されたものだ。
NTTドコモが富士通テンと共同開発したデータは多機能携帯端末(タブレット)に表示される。
画面には周辺の地図が表示され、縦500メートル×横500メートルの範囲で地域別に赤、青、緑などに色分けされる。
ある500メートル四方の地域に23という番号が表示されたとしよう。その地域に近づいて行くと、例えば、千駄ヶ谷5丁目付近には7という数字が表示され、これがその付近でタクシーを求めている数ということになる。
説明がわかりにくいと思うのでコチラのサイト様の記事も参考にして下さい。➔ 【最新タクシー事情】AIタクシーとは?|概要と効果を運転手に聞く!check
非常に具体的な表示方法であり、誰にでも分かり易いシステムといえる。
AIタクシー開発の経緯
ドコモは2016年6月からAIタクシーの実証実験を開始した。
東京23区、武蔵野市、三鷹市、名古屋市においてリアルタイム移動需要予測技術を確立するための実証実験を行い、一定の効果を上げた。その後も大阪市や福岡市において同様の試行運行を試みた。
また、東京無線共同組合のタクシー4,425台の乗車実績をAIに読み込ませ、実際に12台のタクシーにAIを搭載してその効果を検証する実験も行っている。
その結果、需要予測と乗車実績の誤差が20%以内に収まる確率が90%を超えたという。今後はこの確率をさらに高めたいとしている。
タクシー運転手がタブレット端末を使ってお客さん探し
2018年2月15日より法人企業向けサービスの提供を開始している。東京23区、武蔵野市、三鷹市では東京無線タクシー1,350台、名古屋ではつばめタクシーグループ1,150台の車両で運用が開始された。
都内で本システムを実際に使用しているタクシードライバーBさんに訊いてみた。
AIタクシーのドライバーBさんは、「タブレットの画面を見ながら近くの需要が多そうな場所があったので、車を5分ほど走らせました。
目的の場所に着くとそこには荷物を抱え、タクシーを探しているような女性がいました。やったと思いました」と話している。
そして、そのお客さんを降ろして直ぐにタブレットを見て指示通りに車を走らせると、その場所から直ぐの場所で別の乗客をゲットできたといいます。
タクシー運転手が人工知能を使った配車サービスの効果を語る
AIタクシーのドライバーBさんは、AIを搭載してから売上が2割ほど増えたという。知り合いのドライバーには売上が2倍になった人もいるそうだ。
タクシードライバーにとって何よりも有難いのは「乗客を探すためのムダな走り」をしないで済むことだ。そして、利用者にとっては、タクシーがつかまえやすくなったことだ。
あるドライバーは「自分は銀座周辺が得意な地域ですが、例えば練馬まで実車で乗客を降ろした後が問題なんです。土地勘はないし、何処へ行ったら良いのかも分かりません。
今迄だと、結局は空車で銀座まで戻る羽目になっていました。
こんな時に、タブレットを見るとその近辺でタクシーを探している人を見つけられます」と話す。
開発競争の激化
1月20日東京の大手タクシーグループチェッカーキャブなど6社とソニーが、共同で配車サービスの開発に乗り出すことを発表した。
ソニーのAI技術を活用し、天候など様々な条件から利用者の需要を割り出し、タクシーの客待ち走行や利用者の待ち時間を減らす目的だという。
この他にソフトバンクも参入に名乗りを上げている。ひとつの革新的技術が開発されるとそれに類似した技術が現れるのが世の常といえる。
ソフトバンク配車サービス対決に参戦の記事はコチラです。➔ 配車サービス陣取り乱戦 ソフトバンクなど攻勢 check
配車サービスは米国のウーバーテクノロジーズや中国の滴滴出行、日本の大手企業ソフトバンク、DeNA、ジャパンタクシーなどが市場のシェア独占しようとする戦国時代に突入したといえる。
これはAIタクシー技術が優れたものである証拠だし、より便利で実用性のあるものが登場することは大いに歓迎すべきことであろう。
公平、公正な技術競争により人間生活がより便利で豊かになることに誰も異論を挟む者はいない。
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