運送業界のクレームも凄まじいものがあるが、話を聞いて思わず絶句してしまうほどクレームが多いのが通信業界ではないだろうか?
特に、スマートフォンに関するクレームが圧倒的に多いという。
多様化した現代社会においてはいかなる業種であれ、多かれ少なかれクレームは避けて通れない問題であろう。
運送業界には理不尽なクレームが多い。明らかに言いがかりだと思われるものや、きちんと説明した事であっても、「聞いていない」「知らない」といった類のものもある。
携帯電話ショップでは、理不尽というよりも「意味不明な」クレームが多いようだ。
まず、「携帯電話、スマートフォンの使い方が分からない」といったクレームはまだマシな方だ。
・ 何でこんなに待たせるんだ!
・ お前の説明を聴いてもさっぱり分からない。もっと分かり易く説明しろ!
・ アプリって何のことだ?
・ SMSって、サド、マゾのことか?
・ インターネットなんて訳のわからないものは要らないから、安くしろ!
このショップの店員は汗だくで説明をするも、お客様が理解しないものだから時間ばかり掛かってしまう。その後ろで待っているお客様が「遅い」といって怒り出す。こんな事の繰り返しだ。
運送業界のクレームも通信業界と同じ構図
こうしたクレームの原因を追究して行くと、通信業者と運送業者には大きな共通点があることが分かる。
それはいわゆる「背広組」と呼ばれる上層部が決めたことに対して、現場の人間が振り回されているという点だ。
通信業界では次々と新プランが登場する。
こうした新プランを作っているのは、その内容をよく理解している幹部社員だ。現場の人間は、それをお客様に直接説明しなければならない。
そして、説明するお客様の中にはスマートフォンのことをよく分かっていない高齢者も含まれる。
社内でのプレゼンであればスマートフォンやシステムのことを分かっている専門家同士で、それなりに高度な議論が繰り広げられる。
だが、そうした場で決定された内容を「良く分かっていないお客様」に説明するショップ店員の苦労は想像を絶するものがある。
この構図は運送業界でも変わらない。運送業界も多種多様なサービスを打ち出している。
定番となっている時間指定の配達もそのひとつだ。
お客様により良いサービスを提供できるようにと思って開発した商品に違いない。
ある程度は現場が苦労するであろうことは想定していたのであろうが、現場には背広組が想像できないような苦労もある。
同じマンション内に違う時間指定の荷物があった場合の口惜しさなど、とても理解できまい。
待望される現場上がりの上層部
どの業界でもそうだが、特に運送業界では、現場を知る人間が幹部社員になってくれることが待望されている。現場の苦労を実際に味わった人にしか分からない事が多々あるからだ。
企業の役員クラスは表面上の数字だけしか見ていなことが多い。
もちろん数字は大事だ。
本部が見る数字の裏には現場の人間の努力や苦労が隠されている。
現代社会に対応した上層部が待ち望まれる
「現場」というのは「古い昔の現場」ではなく「現代社会の現場」のことだ。
もっと分かりやすく言えば、ネット時代の顧客と向き合っている現場を知る人間が上層部に居ない限りなかなか環境は変わらないだろう。
IT業界には「デジタルディバイト(情報格差)」という言葉があるが、現代のネットのユーザーはいくつかに分類できる。
・ ネットをよく分かっていない層
・ ネットを「覚えた」層
・ 小さい頃からネットが当たり前だった層
運送業界の上層部は「ネットをよく分かっていない層」に分類される。
ネットのことを良く分かっていない上層部が、ネットが当たり前になりつつある顧客を相手にしている。
その点では通信業界はまだマシだと言える。上層部と言えどもある程度はネットのことを理解している人間がいるからだ。
運送業界が本当の意味で変わるとすれば、働き方改革や無人運転よりも、上層部がネットについてもっと理解することだろう。
ネットのことを良く理解していない幹部社員がネットの時代のサービスを考える。
当然、現場の苦労や使い勝手など分からないから、ドライバーたちがどのような苦労をするのかなど想像もできない。
運送業界の夜明けはまだまだ先のことと思われてならない。
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