【自動運転バスは深刻化する地方交通網崩壊の救世主になれるのか?】実用化までに乗り越えなければならない課題

今回の話は自動運転バスについてご紹介します。

バスやタクシーなど公共性がある乗り物を自動運転技術を進化させて普及させられるのか?という話です。

一般論になりますが時間が空いた時の暇つぶしに読んでもらえれば幸いです。

AI(人工頭脳)の発展に伴い、乗用車、トラックやバスの自動運転技術も格段に進歩しています。

特にバスは決まったルートで運行されるため、自動運転の実用化はタクシーやトラックとは異なり比較的容易であると考えられています。

今回はこのバスの自動運転化についてご紹介します。

地方都市の交通網の危機的状況

地方都市においては、少子高齢化に加え人口の流出などによる人口減少の影響もあり、交通機関の経営も厳しくなっています。

乗客が減るからバスの路線や運行を減らす、不便だから他の土地に移るといった悪循環が繰り返されているのです。

地方都市の路線バスはその大半が赤字経営と言われています。

乗客が減少すればするほど、運行費用の6~7割を占める人件費がバス会社の経営を圧迫することになります。

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路線バス事業者の実情

2018年11月の国土交通省の公開資料によれば、国内の保有車両30台以上のバス会社237社のうち169社で2017年度の事業収支が赤字でした。

大都市のバス会社は黒字でしたが、大都市以外の地方のバス会社の場合は、165社中141社が赤字という結果でした。

この問題の解決策のひとつとして「自動運転バス」が考えられます。

政府主導のプロジェクトの一環として自動運転バスの実証実験が各地で行われています。

2016年には国土交通省が「自動運転戦略本部」を立ち上げ、バスを始めとした自動運転の実用化、ルールの整備やシステムの実証を進めています。

2018年9月には小田急電鉄と江の島電鉄、そして神奈川県が協力して、江の島周辺の公道での走行実験を行いました。

10月には茨城県日立市の「ひたちBRT」の一部路線の実験を行いました。

BRTとはBus Rapid Transitの略で、鉄道の軌道を舗装してバスの専用道にしたバス輸送システムのことです。

同年12月には、東日本大震災で被災して廃線になったJR大船渡線の跡地「大船渡BRT」において中型の自動運転バスの走行実験が行われました。

こうしたバス専用道路においては、公道よりも高度な実験が可能です。

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福岡空港のターミナル連絡バスを完全自動運転へ

福岡空港の国内線と国際線のターミナルを結ぶバス専用道路が2023年4月に完成する予定です。

これに伴い、西日本鉄道はこの専用道路に運転手が乗務しない「完全自動バス」を運行する方針を明らかにしました。

現在、両ターミナルは滑走路を挟んで建っていて、そのため現行の連絡バスは一部区間を空港の敷地外である一般道を走っています。

空港の運営会社は空港の敷地内に2.9キロのバス専用道路を建設していて、これが完成すれば、移動に要する時間も15分から5分に短縮されることになります。

西日本鉄道は2018年5月に、ソフトバンクグループのSBドライブと共同で現状の運行区間で実証実験を行っています。

公道においては運転手が乗り、空港の敷地内においては自動運転の実験を行ったものです。

自動運転は技術のレベルに応じて0~5段階に分類されます。

昨年の実験段階ではレベル3「条件付自動運転」でしたが、2023年の導入時にはレベル4「高度自動運転」まで引き上げるとしています.

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完全自動運転までに解決しなければならない課題

バスのみならず、タクシーやトラックの完全自動運転化には、技術的にレベル5の「完全自動運転」に到達することが条件になります。

しかし、それと並行して「法とインフラの整備」が必要になります。

例えば、現行の道路交通法では、「車両の運行にはドライバーの存在が必要」と定められています。

従って無人運転は道交法違反になります。

また、ハンドルのない車両も走行不可となっています。

事故が起きたときの責任の所在の問題もあります。

日本中の車という車が全て自動運転化されるまでの間は、人が運転する車と自動運転車が混在することになります。

万が一自動運転車同士の事故が起きたとき、自動運転車が事故を起こさなくても人が運転する車に追突されたとき、車の持ち主とメーカー、どちらの責任になるのでしょうか?

ハッキングのリスク

自動運転車はセンサーやAiなどによりコンピュータ制御されています。

サイバー攻撃などによってシステムが異常をきたし車が暴走する危険性もあります。

天候による不具合

暴風雨や大雪などで視界が悪くなるとGPSやレーダーなどが正常に機能しなくなる可能性もあります。

そうしたとき、濃い霧を障害物と判断して急ブレーキが作動したり、現在位置の確認が出来なくなるかもしれません。

歩行者や車を認識出来なくなることも考えられます。

緊急時の判断

歩行者や車などに衝突しそうになったときのAIの判断はどうなるのでしょうか? 

歩行者や自転車が急に飛び出してきたときを想定してみましょう。

歩行者や自転車との衝突を避けるために急ブレーキをかければ後続の車に追突される危険性があります。

追突されることを覚悟しながら急ブレーキを踏むか、追突を避けるために人や自転車と衝突するかの判断が迫られます。

どちらかの被害を避けられない状況でAIはどちらを選択するのでしょうか?

近年、自動運転バスの普及は難しいのでは?という見解が広まっています。

自動運転バスが”絵に描いた餅”で終わる理由

出典:https://toyokeizai.net/articles/-/420632?page=3

バスの完全自動化も公道と専用道路とでは事情が異なります。

大都市においてはバス専用道路を確保するだけの土地がありません。

しかし、地方においては都市圏とは異なり、専用道路用のスペースを確保することも可能でしょう。

高齢者は自動車を運転することが難しく路線バスが移動する手段に不可欠です。

過疎化が進んでいる地域の対策にも地方の自動運転バスの導入は不可欠です。

現状のままでは経営難で地方のバス会社で完全撤退、なんてことも起きかねません。

早期の対策が望まれます。

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