ヤマトと佐川の利益率の違いはやっぱり「あの企業」の存在

日本を担う物流大手の両巨頭と言っても過言ではない佐川とヤマト。

 

長年ライバルとして切磋琢磨しているし、この両社の切磋琢磨が日本の物流をここまで大きく、そして消費者にとっては便利なものにしたと言っても過言ではない。

 

しかし、その内情を見ると面白い事実が浮かび上がってくる。

 

それは利益率だ。

 

そもそも運送業界は多くの人がご存じのように薄利多売。

 

 

だからこそ「質より量」な仕事が求められていたのだが、近年は「総監視社会」の到来により、質まで求められつつあるが、それはまた別の機会にということで、ヤマトと佐川、それぞれ大変だろうと思うのだが、実は両社には決定的な違いがあり、それが業績の内情に差を生んでいる。

 

その決定的な違いとは、多くの方が利用している「あの企業」の存在だ。

 

数字で見るヤマトと佐川

ここで損益計算書や決算説明会資料の数字を見てみよう。

2017年3月に発表された数字は以下になる。

 

  • 営業収益
    ヤマト:1兆4668億円
    佐川:9303億円

 

この数字だけを見ればヤマトの「圧勝」だろう。

  • 営業原価
    ヤマト:1兆3854億円
    佐川:8,437億円

 

営業原価とは人件費を含めた費用だ。
つまり、営業収益-営業原価=利益となるが、利益は以下になる。

 

  • 営業利益
    ヤマト:813億円
    佐川:865億円

 

売上に関してはヤマトの方が高いが、利益は佐川の方が良い。

 

つまり、ヤマトが「質より量」なビジネスをしているとも見れるし、佐川が「ヤマトよりも効率の良い」ビジネスをしていると考えることもできる。

 

しかし、これに関しては両社の人件費やシステム云々ではなく、とある企業と関わっているのかどうかが大きいだろう。

 

そう、「Amazon」だ。

 

 

Amazonを取り扱えば結局薄利多売?

Amazonの利便性は今更説明するまでもないだろう。

 

だが、結局その利便性はヤマトがドライバーに大きな負担をかけ、とにかく数をこなしていただけに過ぎない。

 

一方、佐川はAmazonの荷物を取り扱っていない。

 

2013年の4月に既にAmazonから撤退。

 

ヤマトがほぼAmazonの荷物を担っていたといっても良いだろう。

 

ビジネス的な観点から見れば、ヤマトは佐川が撤退した際にAmazonに対してもっと強気に出ても良かったのだが、ヤマトの上層部とすれば「佐川を引き離すチャンス」と思ったのだろう。

 

しかし、感情論を抜きに数字だけで判断すれば、逆に佐川に引き離されているのだから皮肉なものだ。

 

凄かったのはAmazonじゃない

今でこそAmazonの評価は不動のものとなっているが、Amazonがこれほどまでに人気を集めた背景に、それまでのECサイトよりも利便性が高い点にあった。

 

値段もあるがそれ以上に、「頼んだ次の日に届く」という利便性だ。

 

このシステムに、それまで注文してから何日も待たされるのが当たり前だった多くの消費者が衝撃を受けた。

 

そして、「Amazon凄い!」になるのだが、結局凄いのはAmazonではなく、ヤマトだったという話だ。

 

それは一時期、ヤマトがAmazonから撤退するとちらつかせると、結局Amazonの配送業務もガタガタに。

 

そこで多くの消費者が「あ、ヤマトが頑張ってたからAmazonが便利だったのか」と気付いたことだろう。

 

ネット通販事業はまだまだ伸びている

Amazonで明暗を分けたものの、それだけAmazonの影響力が大きいからこそ。

しかし、Amazonだけが問題ではない。

 

ネット通販事業(EC市場)はまだまだ伸びている。

 

これだけ消費が鈍っていると言われている中で伸びているのだから相当なものだろう。

 

だがEC市場での買い物は必ず物流がかかわる。

 

どのような小さなものであれ、必ず「人」が運ぶことになる。

 

もちろん10年後、20年後は分からない。

 

先日ヤマトがドローンでの荷物配送の実験をしていたことがニュースになっていたが、もしかしたらこの先技術革新でドライバーなしでも荷物を配送できる時代がやってくるかもしれないが、その時代が来るまではどれだけ便利な買い物をしたとしても、最後に人に届けるのは人なのだ。

 

しかしヤマトにせよ佐川にせよ、これだけ個人宅あての荷物が多くなるとは想定外だろう。

「Amazonと」ではなく、「ネット通販と」というスタンス

今後はAmazonとどのように向き合うのかではなく、ネット通販とどのように向き合うのか、その体制作りが求められるだろう。

 

Amazonだけではなく、EC市場全体が成長しているが、EC市場の成長は同時に運送業界への負担増をも意味している。

 

近年、ヤマトや佐川ではトラックの配送だけではなく、カートタイプの自転車による配送も行っているが、さらに小回りの効く配送手段の確立が求められていくことだろう。

 

通販が便利なのではなく、ヤマトや佐川が便利にさせていたと多くの消費者が気付いたとはいえ、それでも消費者は「便利」を求める。

 

今後はヤマトや佐川のドライバーたちは負担が増えるだけではなく、それまでとは全く違った業務スタイルが待っている可能性もあるだろう。

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